生地 雅之

2021 22 Mar

見えるものがすべてではない

先日雑誌社のオンラインニュースを3000文字程度で寄稿しました。

そのニュースが雑誌社と契約しているリンク先で、多くの人に読んでいただき、賛同や否定的な

コメントも頂戴したのです。

その内容よりも、コメントを出した人の考え方に多くのヒントを得たのです。

 

まず、人間は自分に目で見えるモノやコトしか見えない人が殆どであるという事です。

自分が見た世界がすべてと思いがちであり、それ以外を認めないという思い上がりなのです。

 

1.自分の意見を持って、常に発信できる術や場所を持っている人といない人。

2.何故雑誌社がフィーを払ってまでも、外部執筆を依頼しているのか?

3.執筆している人は、素人ではないので、調べもしないで記述していると思っているのでしょうか?

4.文字数の枠があり、その中で一般読者の平均的な理解を意識し、

  その読者には理解できるレベルを想定して記載する力も必要なのです。

理解できない人は筆者の読者レベルの推定値の平均を下回っていると自己認識できない人なのです。

このような事は多発しているのですが、大阪の小職の知人(メディア関係者)は、自分の立ち位置を

理解されており、一般客の目線を意識したコメントを提言されている点、評価しています。

 

先日、国税庁・総務省・厚労省等の資料を野村総研がまとめたデータをオンラインニュースで読みました。

そのデータは、超富裕層(5億円以上保持)、富裕層(1~5億円)、準富裕層(0.5~1億円)、、

アッパーマス(0.3~0.5億円)、マス(0.3億円未満)の5層に区分され、

超富裕層の資産は8.7万世帯で97兆円、富裕層の資産は124万世帯で236兆円、

準富裕層の資産は342万世帯で255兆円、アッパーマスは712万世帯で310兆円、

マスは4216万世帯で656兆円です。

合計1554兆円で、準富裕層までで588兆円で全体の38%(世帯数で8.8%)を占めるのです。

 

そのデータを精査すると、日本の総世帯数は5402.万世帯、1世帯人口は2.3人、

でほぼ適正と思われます。

1世帯当たり超富裕層は11.1億円、富裕層は1.9億円、準富裕層は74百万円、

アッパーマスは4.4百万円、マスは1.6百万円で1世帯平均額は2.9百万円です。

 

日本の人口の15~64歳人口の割合は59.5%で,比較可能な1950年以降過去最低

15歳未満人口は1521万人で、前年に比べ20万4千人の減少となり,

割合は12.1%で過去最低となっています。

15歳~64歳人口は7507万2千人で,前年に比べ37万9千人の減少となり,

割合は59.5%で,過去最低となっています。

65歳以上人口は3588万5千人で,前年に比べ30万7千人の増加となり、

割合は28.4%で過去最高となっています。

75歳以上人口は1849万人で,前年に比べ51万5千人の増加となり,

割合は14.7%で過去最高となっています。

 

百貨店の売上の低迷は、富裕層ではなく、アッパーマス層の一部が減少し、

一部富裕層に、殆どがマス層に移行したものと推測され、

見えない部分(下着等)はGMSで、見える部分(コートや雑貨等)は百貨店で

購入されていた方が、マス層に移行している事に起因していると推測されるのです。

 

小職の「百貨店の外商強化」(1月26日付繊研新聞の繊研教室に寄稿の記事

「百貨店の外商強化」も、百貨店の得意分野に目を向けるべきと示唆しています。

コロナ禍もあり、百貨店でECを伸ばす事よりも、外商強化の方がまだ手を出しやすいのです。

百貨店も「外商強化を」と叫ばれて数年、手を出せずに伸び悩んでいました。

コロナ禍では外商でも上顧客はまだ維持できているのですが、

中間層や下層クラスは、店頭と同様に低迷しているのです。

課題はリアル同様「次世代」なのですが、壁にぶつかっているのです。

ここをどう突破するかが百貨店の大きな課題なのですが、この件は別途、

これからの方向性も、既存で過去やってきており、現在忘れている営業施策も記載していますので、

ご一読頂ければ幸甚です。

 

外商というビジネスモデルをご存じない方も沢山いらっしゃるのですが、

外商顧客の上層クラスは1店舗で年間200万円以上程度(多少店によってルールは異なるのですが)

購入されています。

地方百貨店でも3000万円の工芸品の壺を買った翌日に、同外商員に上下の

ビキューナ100% の素材の下着(昔でいうラクダのパッチ=当時上下セットで100万円)を探し、

見つけて貰って購入されたりしていました。

最近のホテル催事でも2000万円クラスのバンクシーの絵を4日間で4枚も売れているのであり、

購入できるクラスなのです。

ロナだから家に上げないような外商員との付き合いレベルでもないのです。

外商員を信頼しているのです。そういったお客様も少なからず存在しているのです。

しかし、過日問題になっている絵画の贋作疑惑などは、結果本物であっても

疑惑そのものが信用を根底から崩しているのです。

当然鑑定書があったのですが、鑑定書そのものが?

 

また、外商顧客の大半は60歳代以上が多いのですが、

お店によっては40歳代(団塊のジュニア世代もいらっしゃるのです。

IT企業の社長やインディペンデント層なので、必要商材は異なるのですが、

リアル同様少しはいらっしゃるのです。

コロナで来店が減少していて、リアル同様60~70%に落ちてはいるのですが、

リアル以上に購買単価は150%以上にもなっているのです。

よって、売上額は100%をキープ出来ているのです。

 

この様な実態は各百貨店のお店のTOPや外商責任者クラスに実態を確認し、

外商顧客向けのホテル催事や店内イベントを実際に拝見させて預いての記述なので、

「実態をご存じない方からは想像の域を超えているのです」一般客とは大きく異なるのです。

確かに将来の百貨店外商は年齢的にシュリンクしてくることは明白ですが、

コロナ下で生き延びる事を最優先するならば目先の売上を確保しないと持たないので、

お客様を確保できていないECよりも、既存の外商顧客の深堀

(現在の購買の伸びしろはまだまだあり)、提案不足と提言しているのです。

「某百貨店が過日外商の顧客にシフトする」とのコメントを出されていると捉えている人がいますが、

全体の20~30%程度のみにシフトすると捉えている方は取りようが間違っているのです。

百貨店は外商顧客のみでビジネスが成り立つのはあり得ません。

お客様には富裕層も多いのですが、確実に中間層を戻して、維持して、拡大する方向にしないと

壊れていくのです。

企業としてコロナ下の中、コロナ前に戻すには優先順位として、

外商上顧客の維持がEC拡大よりも優先されるべきとの事であり、

マスコミのタイトル誇張表現(読者を増やす煽りのキャッチコピー)に実態を知らない

一般客が躍らされているのに過ぎないのです。

百貨店のスーツ売上が全体の1%程度しかないのに影響しているニュースや、

食品売上がGMS同様2/3もあると捉えている人も、ニュースを鵜呑みにしないで自分で

出来るところまででも調べて欲しい(疑って見る)ものです。

 

現在は自社・自店がこれからどうあるべきか、それに向かって現状からどう進むべきかを

構築する必要に迫られてきています。

経済環境は間違いなく変化の兆しが見えています。

どう変わるのかは別として、その中での自社・自店は何をすべきかが問われているのです。

 

是非とも、健全なる企業経営に向けて、早急に改善・改革される事を祈念致します。

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