生地 雅之

2021 15 Mar

百貨店の再生方法

コロナ下、緊急事態宣言もあり、商業施設の売上の低迷が止まりません。

まだ安定しているのは必需品の食品をメインにする食品スーパーやGMS(食品比率2/3以上)であり、百貨店(食品比率1/3程度)やファッションビル、ショッピングモール等は衣料品比率も高く、売上そのものも大幅減少しています。

百貨店層でさえ百貨店の食品売場まで閉鎖すれば、食品スーパーやGMSの食品売場へ流れてしまうのです。衣料品等は必欲品のため購入しないでも生活できますが、、

 

チャネル別顧客実態

コロナ下で苦戦している百貨店の現状をみると、コロナは関係なく過去から変化しつつあったのです。

まず、ルミネやパルコのようなファッションビルは駅または近くに立地し、トラフィック(交通手段)は電車か一部バスで、顧客ターゲットは女性がメインのシングルかDINKSで、可処分所得が高いのです。

 

ららぽーとやイオンモールのようなショッピングモールは郊外にあり、トラフィックは車で駐車場代がほとんど掛からず、家族で1日楽しめる環境(過去の一般層が利用していた百貨店の位置付け)で、ターゲットは子供を含めたファミリーなのです。

よく見るとファッションビル顧客の卒業生なのです。結婚して子供が出来、住居は賃貸でも、マンションでも経費が掛かり、学費も含め、可処分所得が低くなっているのです。

よって、ファッションビルとショッピングモールの展開ショップのレベルも異なっているのです。

 

ファッションビルには感度が高いセレクトショップが多く、ショッピングモールには価格ラインも含めベーシックなファッションショップが多いのが実態です。価格や品質面から言うとファッションビルでさえ百貨店の価格の50%程度であり、ショッピングモールは40%程度、GMSの平場は20%程度なのです。ここ30年以上前にはGMSで衣料品等を購入されていた方の一部は、品質面よりも見た目優先のお客様はファッションビルに流れ、普段着的で見た目も少しはという方はショッピングモールに流れているのです。品質面はGMS衣料品の一部も向上してきていますが、

 

百貨店の再生方法

コロナ前から百貨店の苦戦は始まっており、儲からないビジネスモデルと言われて久しいのです。委託(その後消化)ビジネス(テナントの販売員による場所貸し売上は全体の97%程度にも)に依存し、在庫が残る買い取りビジネスを避け、在庫リスクを避けるあまり価格の決定権まで失っているのです。よって、ローリスクローリターンに馴染み、営業利益率がコロナ前でも国際会計基準の大丸松坂屋を除いて、2%にも届いていなかったのです。

 

買い取りビジネスを避けるようになった理由は、自社・自店の販売実力の把握ができなくなっているからなのです。自社・自店の販売実力(売り切る力も含め)を把握できると必要量のみ仕入れられ、在庫を残さないので十分に営業利益を生むのです。

しかし、店頭の販売を仕入れ先に依存しているので、販売実力の把握がままならないのです。一部把握できている企業もあるのですが、買い取りでのビジネスにシフトする方法に課題があるのです。

 

ファッションビルやショッピングモールに展開するセレクトショップは当初は仕入もの中心であった(だからセレクト)のですが、自社販売員の接客でお客様の声(ニーズ)を把握していくと、セレクト(仕入もの)のみでは対応できない事に行きつき、自社でそのお客様のニーズに合わせたモノづくりにならざるを得ないのです。これがSPA(スペシャルティ・ストア・オブ・プライベートレーベル・アパレルの略=過去にSPA発の香港のジョルダノをまねて成功していたGAPを見て、伊勢丹の武藤社長と繊研新聞の山崎記者が作ったTPOと同様の日本製の英語なのです)なのです。セレクトショップはこの比率が70%以上にもなり、利益率を下支えしているのです。

 

当然百貨店でもできない筈はないのです。時間も掛りますが、一歩踏み出さないと何も進みません。気が付いた時から研鑽の上、やれば良いのです。

セレクトショップのPB比率の70%以上という比率も重要であり、お客様の共通項を見出し、共通品番の比率を高める事で1品番当たりの生産数を増やし、自ら生産して売っているのです。この共通項を見つけられるビジネスモデルを構築しており、巷で騒いでいるオーダー等とは異にするのです。

 

ユニクロ(SPAではあってもファストファッションではない)も同様であり、あれだけ大きなショップでありながら展開品番数は少なく、少品種多量生産で大幅な営業利益額・率を稼いでいるのです。店頭では大量に積み上げて売り減らしで消化しているのです。百貨店や百貨店アパレルとは全く逆の手なのです。オーダーもまともにはやっていなく、お客様のサイズに近い袖丈を組み合わせるような仕組み程度で、お茶を濁しているようでこれで儲けようとは考えていないと見受けられるのです。果たして、どちらが儲かっているのか?オーダーのように1枚ずつ生産して、既製品と同価格では儲かるはずもなく、どこかの部分で赤字が出ているのです。(ほとんど工場ですが)

 

百貨店でユニクロのような大量生産をやれと言っている訳ではないのです。自社・自店の必要量に適した生産数で良いのです。要は百貨店の中でのマス(顧客を見ての最大公約数)をメインに自社でモノづくりをすべきなのです。しかし過去に買い取りPB(プライベートブランド)で大量に在庫を残し、処分に大きな赤字を伴ったので、手が出ないだけなのです。これもすべて自社・自店の販売実力の把握がままならない事に起因しているのです。

 

小売業はローカライズ&カスタマイズしないと生き伸びないのですから、如何に自社のオリジナルを作れるかに掛っていると言っても過言ではないのです。よって、要は他社にはない特殊なオリジナルではなく、自社・自店顧客に合ったオリジナル(表現だけでも)やPBが必要であり、利益を生むGOALになるのです。

 

過去はやり方が上手く行かず在庫を残して失敗しているので,PBには手が出ていないのです。GOALが正しいなら手法(やり方)を是正すれば良いのです。しかし、やり方が判らないのでしょう。それならば時間が掛かってもモノづくりを勉強すべきなのです。「利は下にあり」です。

これを自社・自店顧客に的確な手法で、お伝えする事も必要不可欠なのですが、

 

またこのブログは先週(3月8日付の「百貨店の消えた売上」と対ですので、併せてご一読頂ければと思います。

このブログ(過去からの)には、これからの方向性も、既存で過去やってきており、現在忘れている営業施策も記載していますので、それもご一読頂ければ幸甚です。

 

現在は自社・自店がこれからどうあるべきか、それに向かって現状からどう進むべきかを構築する必要に迫られてきています。経済環境は間違いなく変化の兆しが見えています。どう変わるのかは別として、その中での自社・自店は何をすべきかが問われているのです。

 

是非とも、健全なる企業経営に向けて、早急に改善・改革される事を祈念致します。

弊社へのご連絡は、HOME-PAGEのお問合わせより、お願いします。