生地 雅之
組織変更と適材適所の人材配置
先日、各社の人事異動と一部の組織変更が多くの企業で見られました。特に小売業で気になるのは、大手GMSでも百貨店でも店に権限を持たせる方法であり、販仕分離から戻す方向に向き出したのです。
これは小売業の本来の姿であり、自分の顧客を知っている販売最前線のお店が自らのお客様のニーズ(顕在需要のみでなく本来なら潜在需要までも)を自ら仕入れて売る事なのです。GMSや大型専門店チェーンなどは本部仕入れ機能(セントラルバイイング)は必須ですが、
セントラルバイイングの形態は本来なら各店舗のニーズを本部が集約し商品化し、店毎の顧客の特徴や売上規模に合わせての配分(ディストリビュート=DB)が必須ですが、現在は本部が作り売上規模に応じた配分fが多く、お客様のニーズにヒットしていない事も多いのです。
セントラルバイイングの強みは大きな仕入れによるコスト削減であり、弱みは全店の二―ズに最適化したカスタマイズした商品化ができない事なのです。本当にそのカスタマイズをしないと各店のニーズに合った商品展開ができないのでしょうか?実はそこが間違っているのです。
小売業はローカライズ&カスタマイズしないと生き延びない業態ではありますが、Aでないと全く売れないのかA‘ではNGなのかを考え、最大公約数での集約した企業が勝ち組なのです。如何に少ない品番で大きな売上)(結果として利益)を獲得できるかなのです。勿論「売れ筋ではなく、売り筋」なので、自ら売る事に徹しないと。
本部商品部は各店のお客様の需要(顕在や潜在まで)を把握し、最大公約数で集約し、各店にメニュー提示し、各店より発注を頂くのです。その商品の展開方法を明確にし、売上実力に適した配分が業務なのです。お店は出来る限りセルフ(百貨店でも)に売場を構築し、百貨店は最後のCLOSE(販売)に徹するべきなのです。
百貨店は一部のカテゴリー(在庫の全出しが出来ないアイテム=例えば靴のようにサイズもの)を中心に接客が必要と言われている人もいらっしゃるのですが、これは靴の専門店も同様(セルフではありません)ですので、百貨店に限ったことではありません。専門店等は靴の他のサイズの在庫が見えるように箱で積んであるのですが、殆ど接客を必要としているのです。
百貨店も入店数における買上件数が(購入点数では入店客数の50%程度でも、1人が数点購入もあるので)例えば25%程度かであれば75%の人が接客を受けていないか、受けても購入されていらっしゃらないのです。よって、お客様自ら選びやすい、買いやすい売場構築が前提なのです。(販売員が不在でも自ら掴んでレジに行ける商品&什器レイアウト)
また小売業はNO.1かONLY1でないと生き延びにくくなってきています。よって、すべて展開するブランドが地域のNO.1ばかりにするか(NO.2をNO.1に育てながら)、自店しかなく顧客に欲しいと思って頂けるモノを集めるか(表現も重要)しか生き延びないのですから、限定商品でも構わないのです。百貨店の強みは各社に亘るブランドを一堂に選べる事なのです。
また、今まで良い商品(売り手にとって)を仕入れればお客様は買いに来られると思い込んでいた小売業が如何に多い事か?小売業によって自店顧客の為の良い商品は当たり前であり、それが出来なくなってきており、それで売上は伸び悩んでいたのです。自店の既存顧客のニーズの把握も出来ていないので、その顧客への幅出しも必要不可欠で、お伝え方も課題です。、
売る力(売り切る力)が重要になり、自社・自店の販売実力の把握が、無駄な仕入れをなくし、在庫を残さないので、適した仕入れができるのです。これにより過剰仕入れが収まり、営業利益額を生み出す要因になるのです。要は商品の集約による同一化の集約(違うものは幅出しも)と売り切る力とのバランスが重要なのです。
この「利は元にあり」の商売の原理原則に基づいた組織と適した人材配置こそ企業の成長に繋がる要因なのです。戦略は重要ですが、それよりも人材です。人材を育てるには相応の時間を労しますが、現在に陣容での適材適所こそ即戦力なのです。見出さないと、最近TOPが異動されただけで、ミドルの顔が下向きから上向きに変化している企業も、
小売業のミドル(代表権のない取締役~部長以上)は企業を成長させようとしており前向きです。よって、戦略を明確に設定して、走り方まで教えなくても、ほぼ同じ方向に向かうものです。但し、その方向の右端を走ろうが、真ん中を走ろうが同じGOAL(利益)に向いているのなら一任してでも問題ないのです。、優先順位は組織設計と人材配置(適材適所)なのです。
企業の成長は、「戦略が正しいか否か?」正しいとして「出来るか否か?」なのですが、それはその後でも大丈夫です。過日の某アパレルに昨年就いた新トップの戦略は素晴らしいのですが、リストラで出来るミドル&ボトムが少ないのと適材適所になっていないのではないでしょうか?思い切って余剰を削除して、必要な人材を外部でも引き入れるべきでしょう。
組織の方向転換はまたの機会に、
現在は自社・自店がこれからどうあるべきか、それに向かって現状からどう進むべきかを構築する必要に迫られてきています。経済環境は間違いなく変化の兆しが見えています。どう変わるのかは別として、その中での自社・自店は何をすべきかが問われているのです。
是非とも、健全なる企業経営に向けて、早急に改善・改革される事を祈念致します。
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