生地 雅之

2021 05 Apr

水に定型無し

良い企業の条件とは、「生き延びること」です。

 

最近の新聞でも、伊藤忠商事CEOの岡藤氏が、「潰れなければ挑戦できる」とのコメントを出されています。小職は独立直後(約18年前)に最初に声を掛けて頂いた(当時の)アオキの副社長(現アオキホールディングス副会長)の兄のカリスマ性のある創業者(当時の)アオキ社長(現アオキホールディングス会長)との会話の中で、そのような質問をされ、そのようなコメントで返したおぼろげな記憶があります。当時小職はまだ真剣には考えていなかったのでしょう。その独立後のばたばたから一息ついた、その後の時点から教えられた事を真剣に見つめ直し、現在は同様な考え方に至っているのです。感謝しかありません。

 

世の中の経済環境が大きく変化していても、生き残る事ができれば復活も夢ではありません。企業はどのような形に変化しても生き残る事が使命なのです。人間は空気を吸わなければ生きていけないのですが、花は人間と同様に酸素を吸って二酸化炭素を吐き、二酸化炭素を吸って酸素を出して、光合成して成長しているのです。地球上に酸素を出せるのは花だけなのです。このように二酸化炭素=罪悪と言われている世の中で人間と真逆の生物も存在しているのです。つまり、環境の変化にも対応でき、生存し続けられるのです。人間は酸素がなければ死に絶えますが、企業には酸素は不要から経済環境の変化に対応できるのです。

 

昔、魚に手足が付き両生類になり陸に上がり、2本足で歩けるようになり、猿人から現在の人間に長い時間をかけ、変化してきたのです。サルで止まる場合も魚のままで止まる場合もあるのですが、進化し続けてきたのも事実です。よって、環境の変化に対応出来る事が生き延びるすべてなのです。要は「水に定型なし」水は器に合わせた形の変化が出来、柔軟に形を変えられるのです。人間はいますぐには無理でも企業は可能です。人間も頭の中は柔軟に変化に対応できる人と出来ない人に二分されます。要は、企業は酸素なしでも生き延びるのですが、儲け(利益)なしには存続しえないのです。

 

企業のTOPは儲けに執着していくべきであり、儲けて従業員とその家族を養い、利益で税金を払い、国の経済に寄与しているのです。ファーストリテイリングCEOの柳井氏のこの考えは正しいのです。要は営利団体なので儲けるべきなのです。経営者の一部には儲ける事に執着しているのに、そう見せない手法を使っている企業も散見されます。儲けないと公益性や公共性などとは宣われないのです。適正な利益以上は還元するとの企業も存在していますが、「適正とは何か?」儲けを多く出し、事業を拡大し、新規の従業員を雇う事も公益では?

 

三越伊勢丹は最近TOPに異動があり、儲ける事に徹底し大きな舵を切り替えつつあります。いままで手法に拘り、目的と遊離していたところから大きな変換をされつつあります。つまり本来の営利団体に戻ってきているのです。漸く小売業のスタートラインに立ち返ってきたのです。この企業はミドル(代表権のない取締役~部長以上)に優秀な人材が豊富で、放置してでも儲けるという方向に走り出すのです。よって、戦略よりも適正な人材を適正な場所に配置する事で自然に「儲ける」方向に向くのです。他の小売業も同様ですが、この企業は人材が豊富なので、スタートラインに立てば、「儲け」に向かって走り出すのは容易なのです。

 

企業ヴィジョンや戦略・戦術も重要ですが、このような優秀な人たちは同じ方向に向いているのですから、「右端を走れ」や「真中を走れ」と指示するよりも、適材適所に配置する事の方が優先されます。勿論、大企業ですので、TOPもミドル全員は認識されていないでしょうが、判る人は適材適所に、判らない人は1年放置しても大丈夫でしょう。今回異動がない人はかなり近しい人で、「そのままで良い」と判断されたか、判らないから「1年様子見なのか」なのです。今回新TOP自ら、自分の目線で組織と人材配置を変更しなければ、自分の色の企業に変えるのに1年以上遅れるのですから、優先順位は「適材適所の人員配置」に尽きるのです。

 

企業を儲けさせ続けるには、経済環境の変化に順応でき、「水に定型無し」を徹底できる企業のみが生き残るのですから、切り替えに速さはj重要なのです。特に現在のコロナ渦のような非常事態なら「足元の火消し」を徹底できる現場力のある人がTOPまたはNO.2の営業本部長に置き、火消しを徹底させる事を最優先させるべきなのです。今回の高島屋の営業本部長の異動などはその典型例に映ります。CEO・COOの決断の速さには驚かされます。別途、火消しに十分な現場力を持つNO.2を擁している阪急阪神百貨店はTOPが先読みに徹する事ができる企業であり、今回の販仕分離からの適度な戻され方は素晴らしいのです。

 

現在は自社・自店がこれからどうあるべきか、それに向かって現状からどう進むべきかを構築する必要に迫られてきています。経済環境は間違いなく変化の兆しが見えています。どう変わるのかは別として、その中での自社・自店は何をすべきかが問われているのです。

 

是非とも、健全なる企業経営に向けて、早急に改善・改革される事を祈念致します。

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