生地 雅之
地方・郊外百貨店の今後
昨今、国内の百貨店売上総額は過去のピークと言われる9.2兆円からほぼ半減し、特に富裕層の売上は額としては安定したものの、客数は激減しています。
売上は客数X客単価ですので、客数減を客単価でカバーしているのが現状です。
要は外商客の売上と高単価商品の売上に牽引されているのです。
また、国内の百貨店の売上は10大都市で80%弱を占め、表題の地方・郊外百貨店では維持するのがやっとの状態なのです。
それも大手数百貨店の支店・別会社であり、首都圏や関西圏の本社や親会社の利益を供与(家賃や経費を調整)しているようで、本業は苦しい状態が継続しているのです。単店の地方・郊外百貨店の経営が苦しいのに、首都圏や関西圏に本社や親会社がある支店等が独自に黒字を維持できる筈もないのです。
確かに、今まで百貨店の売上を支えていた中産階級層の売上(衣食住)が、消えているのは明白ですが、その額が百貨店売上の落ち込みに近いのです。
良くマスコミが百貨店の売上減をECやFBやSCに取られているとのコメントを出してはいますが、額が近いだけであり得ないのです。
今まで百貨店商品で生活していた人が急に、FBやSCの商品で「生活の質」を落としてはいなく、型落ち商品のアウトレットで同ブランド(質を維持して)を少し安く購入されているに過ぎないのです。
ECも百貨店が落ちている額をカバーする程伸びてもいないのです。百貨店業界のEC総額は1000億円前後程度で、小売りのEC業界の伸びもそれほど(4兆円以上)の伸びもなく、今まで百貨店の売上の下支えをしてきた中産階級の売上は百貨店以外で売れているのです。
そうでないとそこを支えていた衣料品で言えば、アパレルが倒産している筈なのに、倒産もしていなく成長しているのですから。
話を戻して、表題の百貨店はどうすべきか?
大手百貨店の支店や関連会社はサテライト的になり、品揃えの良い百貨店の本店への地方・郊外在住の富裕層を送客することがメインになり、消滅する方向になるでしょう。
それ以外の単店企業も含め、今後は売上規模ではなく、地域の将来性とリンクして、日本はガラバゴスとはいえ、生き残る店は殆どなくなると予測できます。マーケティング(自社の置かれている環境把握とこれからの予測)ができていない企業の如何に多い事か?
早晩体力のある内(もう既にない店も多いが)に場所貸しのFBやSCに転換し、息継ぎをしている間に次の道を模索すべきでしょう。
日本はアメリカや中国のような2極化にはまだまだ遠く、現在は3極化しており、徐々に2極化には、向かっているものの到達するにはまだまだ時間が掛りそうなのです。
今後の大手百貨店も既存店で言えば、A社は3店、B社は6店、C社は7店、D社E社は各1店のみしか残らず、早期に再度業界の再編が起きうる可能性(業界違いの参画も含め)も秘めています。
いままで、地方・郊外百貨店を多数見てきましたが、会社の言い訳を聞かずに、見ていると新しい経営を模索している百貨店は一部は少しはあるのですが、小売業としてはそのまま将来性があるのか甚だ疑問です。
従業員の維持を考慮に入れるなら、小売業を追求するも道、しないも道なのです。
最近の休日増や勤務時間シフトの修正等を見ると、経営者としての小売業とした貪欲性はどこに行ったのか?
現在は自社・自店がこれからどうあるべきか、それに向かって現状からどう進むべ
きかを構築する必要に迫られてきています。経済環境は間違いなく変化の兆しが見えています。どう変わるのかは別として、その中での自社・自店は何をすべきかが問われているのです。
是非とも、健全なる企業経営に向けて、早急に改善・改革される事を祈念致します。
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