生地 雅之

2020 18 May

アタフタ・コロナ

39都道府県は政府と知事による自主判断で、8都道府県は知事と一部の企業の自主判断により一部開業しつつあり、少しづつではありますが、元に戻ろうとしています。5月中旬段階では倒産146件と肥大しつつありますが、第二波も注意を要します。

振り返ってみると、今までの消費環境が変化しつつあったのは間違いない事実ですが、消費者そのものの考え方や行動パターンには大きな変化はみられません。ECの売上が大きく伸びているとはいえ、リアルを補填するには当然至っていなく、自宅待機のために、必要なアイテムを出来る範囲の中で購入されたくらいなのです。

誰かが高齢者もECでモノを買いだしたと評価されていましたが、そう大きな数字ではなく、慣れないECを使うよりも、購入を我慢された方が多いのが実情です。

 

先日、営業継続されてた小田急百貨店の食品売場や開業された立川高島屋と玉川高島屋をOPEN2日目(15日)にリサーチしてきましたが,対応の差がでており、準備不十分と感じられました。小田急の食品売場は継続されていたので、フロアの大半は営業していましたが、入り口の検温等もなく従来の状態でした。

玉川高島屋では17時頃でしたが、入り口の検温も実施され、中はラグジュアリーブランドも閉鎖、平場は閑散としておりお客様よりも販売員の方が多いくらいなのです。唯一そこそこお客様がいらっしゃった食品売場では1社レジ前のビニールカーテン(各社テナントが同じものではなくメーカー手配=イオンも同様)の支柱をガムテープで留めてある状況であり、ガムテープの止め方も丁寧でなく見苦しい状況でした。(応急処置かも)

立川高島屋は15時頃でしたが検温される事もなく、勿論ラグジュアリーブランドは閉鎖しており、平場も閑散状態であり、定借の売場でもお客様が入っていたのはユザワヤくらいで、ジュンク堂(書籍)やニトリもガラガラで、平場も当然お客様よりも販売員の方が多い状況でした。同じ高島屋で検温の有無の差もあり、立川店の対応はお客様に問題視されていた模様です。勿論、小職の様に違う店を比較している人ではなく、その地域のお客様の声(期待値より上か下か)なのです。

 

実は開業に向けての準備が出来ている企業は少なく、付け焼刃の判断で現場に指示が出ている状態と見受けられます。ボトム(現場)にそこそ(万全な開業準備)の期待をすることは難しく、やはり現場を知ったTOPが事細かく指示を出す必要があります。開業準備は部下の仕事と決め付けずに要所要所のチェック機能が働く組織作りが期待されます。

食品売場のみでも開業していれば、他のフロアを含む全店開業時の対策準備はもっと完璧に置き換えられた筈なのですが、一方既に開業している食品売場とこれから開業するフロアの対応の差が出るのは、コロナの進行状況で変化させるべきなのですが、それなら既に開業している食品売場のお客様対応も変化させる必要があるのではないでしょうか?

企業は経営と現場の二人三脚が重要なのですが、経営者(社長)の意識が高くても、現場(営業系)がまだまだお客様目線の実行が出来ていない証なのです。接客の最高峰を自負している百貨店なら、もっと原点に戻って頂きたいのです。今後のフル開業に向けてもアタフタしない事を期待しています。一事が万事なのですから。

 

要は未曽有の出来事にアタフタしているのです。今までこのコロナの影響を誰が何処まで読み抜いていたのでしょうか?これは自然災害なのでしょうか?何が起きても盤石な方針を立て、その準備をしていた企業は多くはありませんが、確実に存在しているのです。

百貨店でいえば、ECはどこも貧弱な状態のままですが、本業以外に不動産に目を向けていたJFRなどはその事例とも言えます。他社の不動産は声だけ挙げて何も手付かずの状況であり、自社本業部分を多少テナント事業に転換しだした程度に過ぎないのです。ECは声だけ挙げているだけですが、JFRも事業柱の3本目を創造・構築されたいと考えていると思いますが、

 

このコロナの経験を踏まえると、百貨店企業の事業とは、過去から提言しています

A)百貨店顧客向け

1.既存顧客の再調査(マーケティング=MK)による品揃え(マーチャンダイジング=MD)の再見直し的確な告知(プロモーションPM)の徹底

2.上記1のMDによる来店可能なエリアで来店されていない人への再網掛け(アプローチ)

3.上記1の対象顧客の子供向け(団塊JR)とその子供(孫)向けのファミリー層(来店可能なエリア在住)向けMD開発とPMの徹底

は当然なのですが、拡大を目指すなら、

B)来店可能な百貨店顧客以外の層向け

1.来店可能なエリア在住の百貨店顧客層以外の客層に向けての商業施設(FBやSC)開発

2.その商材(MD)によるEC開発

C)上記A+Bに向けてのPB開発(百貨店暖簾以外のショップブランドと両方のグッズブランド)

これは過去から記載・提案済のため、今回は割愛しますが、

先読みについては、5月12日のコロナへの豪州の武漢批判による中国の牛肉輸入禁止などは相手を判っていない証左なのです。企業は国とは違うので、自らの危機管理意識は高められるのですが、コロナでアタフタしてしまっていたのです。

 

現在の世の中で、「要らないのは何か?」を考えてみました。

1.経営の出来ない経営者・TOP(代表権ある取締役)

2.自分でできない事を部下に指示する経営者・TOP

3.経営者・TOPの意思を部下に判るように噛み砕いて伝達・指示出来ないミドル(代表権のない取締役から部長まで)

4.ミドルからやり方を教わっても出来ない、アレンジしてでもやろうとさえしないボトム・スタッフ(部長未満)

5.年上の部下を上手に使えない上司、年下の上司に上手に仕えない部下

6.自分の出来る事は小さくても、BESTを尽くして達成しようとする姿勢が無く、できない言い訳を探す部下(阻害要因を見つけずに、「他人の芝は青い」と言っている人)

7.見てわかる事を説明したり、ため口で話掛けてくる、後ろ手で接客する販売員

8.プロの販売員なのに、「売れ筋のフォロ―が利かないので予算が達成できない」とか、売場には商品が沢山あり、お客様のニーズは売れ筋ばかりではなく、お客様の異なるニーズを把握しようとしないで、売りにくい商品を売ろうとしない販売員

  *企画担当者も生産担当者も、工場の方達も売れないと考えて商品は誰一人として作ってはいないのです。勿論販売員の皆さんも、売れなくても良いとは思っていないのです。

  ではどうしていくべきなのか?

 

現在の企業で売上不振の原因をどう見るか?他者(天候や気温、震災等)要因にするか?自者要因とし、自分で出来る事を見つけ精度を高めるようにするかで、全く異なるのです。

今回は上記8項目がメインなのですが、それ以外にも「あるある」と同調されても、その後自社は自分はと振り返ってみてください。果たして、、、

 

現在は自社・自店がこれからどうあるべきか、それに向かって現状からどう進むべきかを構築する必要に迫られてきています。経済環境は間違いなく変化の兆しが見えています。どう変わるのかは別として、その中での自社・自店は何をすべきかが問われているのです。

 

是非とも、健全なる企業経営に向けて、早急に改善・改革される事を祈念致します。

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