マサ 佐藤
EC店は鮮度に翻弄される?
★アパレル小売業でもEC店のみで多くの売上を上げている組織も出てきている
アパレル小売業も、年を追うごとにECの売上構成が上がっているのは皆さんご存知の通りです。
そのような状況の中、ECのみの展開(実店舗はない)で多くの売上を上げているショップも増えています。中には数十億円以上の売上を上げているブランド・ショップもあるほどです。
しかしながら、そのような組織も創成期のイケイケな時期は良いですが、時間が経つにつれ市場が成熟してくると、売上は今まで通りに伸びず、成長が鈍化している組織も多くなっています。またそのような組織は売上の伸び以上に在庫の増加に悩まされているというのも否めない事実ではないでしょうか??
★なぜECは実店舗よりも在庫過多に陥りやすいのか?
そのような状況の中。昨今ECで問題??になっているのは、タイムセールやクーポンの乱発という状況です。このことによって粗利率は下がり、収益に悪影響を与えてしまいます。
タイムセール・クーポンを乱発しなければならない状況にあるということは在庫過多に陥っているということは皆さんにもお分かりの通りです。
ということで今回は、EC店のみの組織は何故在庫過多に陥りやすいのか??ということを、私が独断と偏見で勝手に推測させて頂くと。
”新商品を出し過ぎなのでは??”
との結論に至ります。
これはどういうことかと言いますと?ECは実店舗とは違い3次元ではなく、見え方は2次元です。テクノロジーの発達によって、様々な方向からアクセスが可能にはなりましたが、それでもTOPページを中心に売れるページの傾向はおそらく実店舗のVMDと同じようにある筈です。(この辺は私は素人なので友人でWEBマーケッターの深地雅也さんから学ばなければなりません。よろしくお願い致しますm(__)m)
http://blog.apparel-web.com/theme/consultant/author/fukaji
しかも見え方が立体的でなく平面で見えるECでは、売れる確率の高いページにより新商品を置き、実店舗以上に?鮮度を意識するようになる筈です。
ということは??
→実店舗以上に新商品に売上が集中する。
→よって新商品を出す頻度が増える。
→最終的に「毎週〇〇曜日は新商品入荷の日」などと設定し、毎週新商品を多く入荷させるようになります。
この鮮度を意識した手法で成功しているところは多いですし、すぐに人気商品が売りきれるというお客様に対しての渇望感を与えることに繋がります。しかしながら、度が過ぎた新商品投入数を入荷させるということは?当然デメリットもある!いうことを以下、ざっくりとした算数で説明してみます。(厳密に計算したりすると逆に伝わりづらいので)
★売り切れる商品は1日で売り切れるが、塵も積もれば山となる状況に陥りやすいリスクがある。
例として売上50億。1点単価7000円。週平均新商品を40型入荷させているブランドがあるとします。
ということは?40×52=2080型。年間投入型数が存在するということになります。
50億÷7000円=約71万点が必要販売点数。
1アイテム平均。71万点÷2080≒355点。が必要販売点数になります。
(*このこと実店舗で考えると?
→この組織の標準店舗モデル1億5000万円の店に設定。すると約33店舗展開。
355÷33≒11点が店舗に行き渡る点数。これを1週間で商品を売りきろうとすると?11÷7≒1.5点が1日辺りに売れる点数。
実際はSKU展開もあるわけですから、如何に多くの商品がすぐに店頭から消えるということがなんとなく想像がつくと思います。
というよりも、次から次へと新商品が入荷してくるのですから早く売りきらなければなりません。)
鮮度を意識するということは1型辺りの発注点数が上記のように少なくります。また、1アイテム辺りの必要数量が少ないので、当然数量等にメリハリがつけられることもなく、売れる商品は1・2日で売り切れる筈です。(1週間に1万3000点以上売れる)そして、最初の1週間で売れない商品は、何らかの手を早急に打たない限り永遠に在庫が残り続けることになります。しかも商品が無限に増えていく(キャリー在庫も積みあがっていく)ので、そのような商品の動向をデータで追うこともめんどくさくなり、ほぼ放置の状態になります。
最終的に「塵も積もれば山となる」という在庫状態になる。気づいたときには手遅れにということになりかねません。
仮に上記の例で、1週間の新商品のうち、5型が全く売れなかった場合1週間に1775点が残る。1か月で7000点以上の在庫数が残る。1年で8万5千点以上の商品点数が残っていきます。当然のことながら、セール等でこのような在庫を処理することになるでしょうが、毎週新商品が投入される状況の中で、販売ページ等の工夫や売れ残り商品に目を向けさせる施策がない限りは、地味?に積み重なっていく動かない在庫ということになります。
またこのような組織は必要販売枚数より多くの数量を仕入れている筈ですから、更なる在庫過多が見込まれます。
★算数を使い一度自分たちのMDを検証してみては?
EC店にとって「顧客にとっての鮮度」は実店舗以上に大事なことだと思いますし、そのことが売上に繋がるのは事実です。
しかしながら、度が過ぎた鮮度第1主義から新商品投入を組織の実力以上に多く投入することは、商品系の仕事過多や撮影スケジュールなどの行き詰まりなども相まって社員を疲弊させる。という在庫過多以外の副作用も発生します。とは言いつつも、根拠もなく急激に新商品投入数を少なくすると、急激な売上の低下を招いてもしまいます。
だからこそ、一度立ち止まって自分たちのMDを算数を使い分解してみることで、顧客にも組織にもWINWINとなるようなMDを再構築。更に販売・PRと連携し、組織にとっての「最適」を見つける機会にこのブログがなれば幸いです。
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