山中 健

2019 31 Dec

2020年に向けた提言4 「既存ビジネスをウェルネス的アプローチで見つめ直す」

世界に広がりを見せているウェルネスビジネス。ウェルネスとは「心身ともに健康」のこと。現在、世界のウェルネスビジネス(市場規模4.2兆ドル)で多くを占めているのが美容(同1兆ドル)、次いで健康食品&ダイエット関連ビジネス(同7,020億ドル)だそうです(全てウエルネスインステチュート2017年データ)。

これらのビジネスの先進国である欧米では、ファッション業界の停滞を尻目に人気のお店が次々と出来ています。「グロシエ」「ホールフーズマーケット」「ルルレモン」などが伸びた背景にはこのようなウェルネスマーケットの伸びがあったのでしょう。

日本のファッション業界も、当然このマーケットを傍観したりはしていませんでした。マッシュHDのコスメキッチンやベイクルーズのシティショップなどのように事業開発を行ってきたのが、2010年代後半の動きです。

2020年代はどのようになっていくのでしょうか。私は「心身」の「心」の部分のウェルネスビジネスが広がっていくと思います。すでに大きなマーケットなっているウェルネスツーリズムやフィットネスジムやヨガスタジオなどで行われるマインドケア、不動産や会社での「心地よさ」などが一般に広がりを見せ、ビジネスとなっていくでしょう。

それでは、ファッション業界は、どうしたら良いのでしょうか。「心」の健康の中には「絆」「生きがい」なども含まれます。ファッションを創り、届けることでこれらを生活者に届けることができると思います。

ファッションショーを見た時のワクワク感、ブランドのストーリーやフィロソフィーに触れた時の感動などを経験するために、私はファッションや各ブランドへの「絆」を感じることができます。

自信を持って仕事をするため服、旅行や趣味のために気分を高揚させるアイテム、大事な思い出に寄り添った服・・・。服は人生に寄り添っています。その服を届ける私たちですが、時としてそれを忘れてしまいがちです。しかし、そのことは、ファッション業界を目指して仕事をしている私たちがよく知っているはずです。その思いを届けていくことが必要だと考えます。

失われたマーケットを埋めるためにウェルネスビジネスを開発してきたのが、2010年代だったとするならば、ウェルネステーマが多くのビジネスの根幹となるのが2020年代。まずはウェルネス的アプローチで既存ビジネスを見つめ直すのが、2020年に行うことだと思います。

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