生地 雅之

2020 02 Mar

残念な現実

昨年暮れから今年の2月まで、さまざまな話題の店や商品を見てきました。

過去にも「陸の孤島より海の孤島」というタイトルで、首都圏の小さくてもニュースになった

館(商業施設)を見てきました。

 

あまりにお客様の事を考えていないと思えたのです。

「陸の孤島」なら地続きですので、プロモーション等でまだ集客の可能性もあるのですが、

「海の孤島」では船にでも乗らなければ未来はありませんと、、

今回はその第2弾になるのですが、近々に第3弾も、

 

1.&BRIDGE(ワールドのオフプライスストア)

西大宮駅からTAXIで5分程度の国道に面しているしまむらメインの西大宮ファッションモールの一角を

ワールドのオフプライスストア(日本1号店)が担っているのです。

業界でもミニニュースになっていましたので、「自分の目で見に行く事と、感じて思った事を軸に、

忖度しないコメントをモットーに」

 

まず、倉庫風の店装は自店コンセプト(商品の価格を下げたいので店に経費を掛けない)は

それなりに理解する部分もあるのですが、ビジネスは価格以上に価値ある商品と思って頂けないと

生き残らないので、

また、知名度の低い輸入ブランドを50~70%OFFにしても、ジャケットで3~5万円程度であり、

ドレスシャツも1万円弱なのです。

ブランドを知っているマニアックなお客がこの地域にどれだけ存在しているのでしょうか、

要はマーケティング不備なのです。

 

小売業はお金を払って頂ける人がいる地域密着型のローカライズとその顧客のニーズに合わせたカスタマイズを

理解し、その上そのターゲットのマスに向けた商品施策(MD)を構築して的確なプロモーション(PM)を

当てないと事業の成功は覚束ないのです。

 

米国企業も参画しているようですが、ここを確認しないで米国で広がっているオフプライスストアを導入しても

即成功しないと思うからなのです。

事業が上手く行くなら、その後手を付けていた出店はともかく、店舗拡販はどうなっていくのでしょうか?

2号店は近々に出すように見受けられますが、1号店の結果を見ないうちに既に決定事項であったのでは?

因みに、この館から無印は昨年に撤退していました。

 

ファッショントレンドレベルの欧米賞賛は一部当然(ブランディング力の歴然とした差)と思いますが、

アウトレットの米国と日本でのアウトレットが大きく異なり、日本は色サイズ欠品で販売員がお客様から文句を

言われるレベル(FBやSCの廉価バージョン)なのです。

だから、アウトレット専用商品(色・サイズ揃った)まで、生産展開しているのです。

 

別途、国道17号線に面しているのに、駅までの帰りのTAXIが15分待っても1台も通らず、

あきらめて駅まで迷路のような市街地を20分程度歩いて戻りました。

それなのに(車メイン)駐車場も小さく路面店のワークマンの10台弱レベルではなく、

しまむらを含めて少し大きいのですが、

本当に陸の孤島でした。つまりそんなに大きな集客も期待していないのでしょう。

 

2.N+(ニトリのアパレルショップ・ニトリとは見せていない)

ららぽーと立川立飛1Fに出店していますが、ニトリの社長のコメントの「ミセスが気軽に買える服がないので」

との事でした。ニトリ本体は3Fに出店し、1Fにニトリの表示はだしていません。これは正解でしょう。

この衣料事業が成功しなければ、ニトリブランドへの影響もなく、ブランド毀損をしないとの考えなのか?

無印は自分のブラン・コンセプトに自信があるのでしょう。

衣食住とも同じブランドでの世界観を構築できているのです。衣料品の完成度は今一つですが、

 

売場もシンプル、商品もシンプルであり、ヤングファッションのチェーン専門店から飾り物を取り外し、

定番物のメニューのみに見えています。テラスモール松戸には少しデザイン物もありましたが、

既にアースやロペピクでさえ、40~50歳のお客様も増え、一部60歳も多く見受けられます。

ユニクロはベーシック志向でも飾り物もあります。SKUでは多いのですが奥行きは落差を付けています。

 

ブランドの顧客平均実年齢は間違いなく上昇しています。

逆に言えばマインド感覚が若い高年齢層が多く、その対応が必要になるのです。

感覚的にはこれくらいまでは当然なのですが、それよりもビジネスモデルは?

ニトリのリビングにおける成功したビジネスモデルがあるから、アパレル業界への参入も期待もあったのですが、

残念としかい言いようありません。

 

確かに現状のアパレルやファッション系小売業は苦戦中で参入障壁も低いのですが、さすがにこのレベルでは

全く通用しないでしょう。業界が現在低迷しているのも事実なのですが、舐められたものです。

小売業の強みは「走りながら改善できる」ので現在が結果のすべてではないのですが、

緒に就いた段階がこれなら、、

勿論、現社長自ら研鑽して参入しているとは思えませんが、丸投げしている部下に問題があり、

それを見抜ける目線(研鑽)がないのでしょう。

 

3.ポールスチュアート・アドバンス(メンズビギ)

2月21日15~20時入場までとして日本橋本町のビルで開催されましたポールスチュアート・アドバンスの

POP-UP(実は内覧会的展示会)に行ってきました。

 

本体は三陽商会が三井物産とライセンス契約しているブランドですが、

百貨店展開をメインにして今までそこそこの実績を上げていました。

しかし、ここ数年百貨店の低迷と共に前年実績を割っている状況が続いています。

そして三陽商会の新方針のFB向けビジネス展開が上手く行っていないのが原因ではないかとも思われます。

そこで今回ディヒュージョンラインとして、アドバンスをメンズビギとライセンス契約を締結したようです。

商品が出来ているのは1年以上前から進行していたのでしょう。

 

繊研新聞とホームページを見ると、今回の日本橋本町ではB1F~3Fまでの4層で1日限定のPOP・UP-SHOP

と記載されており、実際は2Fのみの狭い会場で、POP-UPではなく内見会方式の展示会

(個人も卸も先行受注対応)としての開催でした。

HPも含め足並みの乱れも、広報はデフォルメがスタンダードかしていて、

来店しない人にはわからないと考えて、大きく見せているのか?

その後、2月28日にはルクア(大阪)に常設店を開設し、順次首都圏もFB&SCに展開していくとの事でした。

 

WEBサイトを見ると価格としては雑貨はリーズナブルでFBやSCには適しているのです。

ウェアは百貨店よりも下回っていますが、平均価格は半額よりも高くFBやSCでは通用しません。

大手アパレルやSPAブランドも、ディヒュージョンラインでFB&SCに展開しています。

商品の出来を良くする事は各社・各ブランド当然ですが、チャネル固定するならFB&SC価格ライン

(そのゾーンのボリュームを狙うなら、百貨店の50%以下)に、価格ラインを固定するなら

チャネル選択にミスが出ているのです。これらも走りながら改善できるので、修正を期待しています。

 

メンズビギもユニオンステーションで低価格帯を展開しており、グレードアップを狙っているのでしょうか?

はたまたルミネがニューマンを新宿で、今後横浜で出店するように、デベロッパーも高額ラインを取り込みたい

という思いと合致してきているのかは、今後の推移を見ないと判断も付きにくいのですが、

このままでは泥沼に嵌ってきます。

 

これはデベロッパーが売上を拡大するために強み(自館顧客の中心)を忘れ、館への期待値以上の

新規顧客に目が向いているのでしょう。新規顧客層を獲得する事を否定しているのではなく、

戦術ミスなのです。新規参入ブランドは弱い立場にあり、それに乗ると結果が出にくいのです。

昨年末に渋谷でOPENしたFBのラグジュアリー導入を見ても結果は、、

 

ニューマンも前年より上回ってきているとの報道がありますが、前年実績はどのくらい低いものかは、

前年クリアして当然で、デベロッパーは定借でしょうがテナント側は家賃に見合っているとは見えません。

三越日本橋の新館のKADEN(家電)も、デベロッパー側とテナント側(ビックカメラ)の売上に対する

予算の差異や、ビジネスに対する熱い思いは異なっているようです。

 

この様にマーケティングの不備とマーチャンダイジング力の無さをもって参入してくるのは、

今までの成功は「まぐれ・偶然」であったのではと思わざるを得ません。

そうではない筈ですので、すべて成功モデルを上から落とすのではなく、TOP自ら再度新入社員時代のように、

お客様からどう見えるのかを真摯に捉え、ある程度TOP自ら汗をかき、その後部下に任せていかないと

新規事業は成功しないのです。

 

現在は自社・自店がこれからどうあるべきか、

それに向かって現状からどう進むべきかを構築する必要に迫られてきています。

経済環境は間違いなく変化の兆しが見えています。

どう変わるのかは別として、その中での自社・自店は何をすべきかが問われているのです。

 

是非とも、健全なる企業経営に向けて、早急に改善・改革される事を祈念致します。

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