生地 雅之

2021 21 Jun

三越伊勢丹応援宣言3

先日TOPが交代しました。前社長は前々社長の背伸びの整理に奔走され、泥塗れで苦労されたのです。その過程でDXという手法を目的化させた事で現場も疲幣し、上手く回らなくなっていたのです。余剰人員をDXや外商に回しても全体の人件費は減らないのですが、

前々任は新規事業を育て、既存の余剰人員を回す事により、リストラを避けようとされていたのですが、新規事業そのものが優秀なスタッフが多くいるここでも上手く行かず、背伸びをしたままで後任に道を譲らざるを得ない状況に陥ったのです。企業もジャンプするには一旦膝を曲げなければ、

後任もTOPに就くまでに「850名程度のリストラをしないと会社はやっていけない」とお考えの様でしたが、事実であったのです。但し、それが当時の組合他に漏れていれば後任はTOPにもなり得なかったのです。当時も現在もこの企業は経営VS組合なのです。

この様な経緯を持って、今回の新社長の就任になったのですが、一気にモチベーションが向上し、コロナ前から不振に陥っていた企業が蘇ってきたのです。取り敢えず小売業のスタートラインに立ち、これから復活の一途を辿るのみなのです。現在は株価もある程度復活傾向にあり、現場のミドルは明るい顔に、

百貨店業界ではJFRが業界を一歩進み、「百貨店ごっこはやらない」と消化ビジネスを容認し、それ以外の事業領域で全体のバランスを取ろうとされています。JFRの前TOPは不連続成長という言葉で、すべての事業が毎年成長しなくても、どれかの事業の成長で全体がカバーできればとの方針です。

しかし、PARCOを完全傘下に収めても、場貸しという不動産業でもモデルが物販である限り、今回のコロナの影響をもろに受けており、不連続成長の意味はなしていません。コロナ禍でも製造業のように成長している産業もあり、不連続成長にはこのような二本足経営にすべきなのです。

しかし、経営の手は他社よりも一歩早く、国際会計基準の決算方法も採用し、明確に従来の百貨店からの脱皮を試みているのです。百貨店の本来の姿には戻ろうとせず、時代の変化に対応して生き延びる事に主眼を置いた経営にシフトしてきています。

また、阪急阪神百貨店も関西ドミナント戦略をとっており、百貨店業のみに縛られず、マーケットの百貨店顧客層のみではない顧客の確保にGMSや食品スーパーを巻き込み、グループを大きくしています。これからはSCも活用した関西ドミナント戦略を仕掛けています。(関西のみに留まるかは不明ですが、)

話を戻して、掲店は「百貨店のあるべき姿」という原点に戻り、再生を模索しているのですが、経済に変化が伴い、形を変えた現在、未来に通用する小売業、百貨店へ変化を遂げようとしています。斜陽産業と言われているのですが、まだまだ百貨店の生き延びる道はあります。

但し、事業会社として百貨店を現在、未来に通用する百貨店にする事は可能と思われますが、小売業はローカライズ&カスタマイズしないと生き伸びないのです。そのエリアでは関西ドミナント戦略を実行している阪急阪神百貨店のような、首都圏ドミナント戦略も必要でしょう。HHDの適した組織改編やイズミヤのSC化は武器になるでしょう。

新社長は百貨店顧客の上顧客(少数ターゲット)の外商顧客に焦点を当てた戦略は正しいと思われますが、裾を広げて行かないと、マーケットはシュリンクするのみです。よって、百貨店顧客の中産階級(百貨店の元マス層)の再度の確保も視野に入れる必要があります。百貨店の魅力を取り戻せば、

当面はコロナ禍では足元の火消しに奔走されるでしょうが、今後の経営は一人二役(文武両道)は難しく、高島屋やJFRのような二人三脚どころか、新たには三人四脚時代に突入してくると思われるのです。要は経営のプロ、現場のプロを番頭として従えたTOPが必要なのです。

今回の新TOPはそのTOPに君臨できる方なのですが、両番頭が居るのかが課題でしょう。今はなりふり構わず、足元に実力者(年齢に関係なく育てたい人も)を呼び戻し、首都圏で万全な態勢を引くべきでしょう。地方・郊外は目に見えて衰退していますので、既に各社はお考えでしょうが、再生方法は無くはないのですが、自然体では、

現在は自社・自店がこれからどうあるべきか、それに向かって現状からどう進むべきかを構築する必要に迫られてきています。経済環境は間違いなく変化の兆しが見えています。どう変わるのかは別として、その中での自社・自店は何をすべきかが問われているのです。

是非とも、健全なる企業経営に向けて、早急に改善・改革される事を祈念致します。
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