山中 健

2020 08 May

ニーマン・マーカスも経営破綻 新たな挑戦をするも

とうとう「ニーマン・マーカス」も経営破綻となりました。「ニーマン・マーカス」は米テキサスの高級百貨店。以前までは世界の最高級百貨店として、アメリカンリッチを象徴する存在でした。今はNYの高級百貨店「バーグドルフ・グッドマン」も傘下にある百貨店グループです。先日のJ.クルーと共にマネーゲームに巻き込まれ、さらにコロナ禍による消費の激減により破綻したと報じられています。

破綻パターンは、J.クルーと似ています。ただ、企業としての再生段階は異なっていました。J.クルーはこれまで業態開発やリポジショニングをしてきて、世界での存在意義はあったと思います。確かにグローバル戦略はうまくいかなかったですが、それは他のアメリカブランドも一緒。

一方、「ニーマン・マーカス」は、アメリカンヘリテージとして尊敬されるべき存在ではありますが、アメリカのX世代以下(50代以下)や外国人からは魅力が失ってきたと思います。特にMDやブランドセレクトの切り口は2000年代のまま。2010年以降にどんどん進化している欧州やアジアの百貨店と比べるとどんどん色褪せて見えました。

その「ニーマン・マーカス」が新たなチャレンジをしたのが、2018年後半。NYで話題の新開発エリアの「ハドソンヤーズ」の商業施設「ザ ショップス アンド レストラン アット ハドソンヤーズ
の核店舗として出店。新コンセプトストアで、デジタルを駆使した体験型店舗として注目を集めました。私ももちろん店頭に足を運びましたが、MDやブランドセレクトは従来を引きずったまま。来店客もほとんどいなかったことを覚えています。コンセプトとMD、そして既存顧客のギャップを感じ、現代の小売の抱える難易度の高い課題を感じた次第です。

新たなコンセプトストアを作っても新たな客層を獲得するのは難易度が高いもの。特に既存顧客による売上が多い店ならなおさら。新規客にとっても既存客のイメージはとても強いものなのです。今回、ニーマン・マーカスの再生が叶うのであれば、一旦縮小し、店舗の立地環境に合わせた新規客を獲得して欲しいと思います。そして、傘下であるバーグドルフ・グッドマンのNYの店だけは絶対に残して欲しい。世界の流通業界の宝だと思います。

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