山中 健

2020 22 Apr

ファッション企業の#stayhomeへの取り組みをチェックしてみた

すっかりと馴染んた言葉#stayhome。日本では規制弱いですが、ロックダウンされている都市を抱える欧米ではマーケティングやMDの大きなテーマとなっています。そもそもファッション企業は外出に伴う装いを提案するもの。このような事態で各企業はどのような取り組みをしているのかをチェックしてみました。大きく2つの方向性に分かれるように思います。

1.ECでルームウェア、ライフスタイル関連グッズの販売

家に籠る上で生じるニーズへ対応した商品をECで販売するという取り組みです。この取り組みを行っているのはポピュラープライスのブランドやSPAが多いようです。H&Mはリモートワークにおけるファッションを提案。緊急事態宣言が出される5日前の4月2日には会員にメールマガジンを配信しています。ユニクロは、ルームウェアをアプリのトップページでハイライト。売れ筋モデルでは欠品が目立っており、ゾゾタウンのランキングでもスエットやジャージ、Tシャツが上位にランキングされており、同カテゴリーの需要が高まっていることがうかがえます。

 

また、KITHは部屋でのワークアウトをイメージさせるビジュアルを使用してスウェットをハイライト、フランスのメルシーは強みであるインテリアの提案を強めており、自社商品を通じてstayhomeを楽しむ提案がされています。店で見るのではなく、巣ごもり状態で見るとより魅力的に見えます。

 

 

2.エンゲージメントを誘う非商業的アプローチ

 

憧れ要素が強いハイファッションのプレイヤーはエンゲージメントを誘う非商業的アプローチを行っているケースが目立ちます。「アレクキサンダー マックィーン」や「ザ ロウ」は、音楽配信アプリSpotifyを通じてプレイリストを提案。部屋にいながらブランドの世界観を感じてもらう取り組みをしています。また、「ディオール」はメゾン70周年を祝して2017年に開催したエキシビション「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」の舞台裏に迫るドキュメンタリー映像をYouTubeで特別公開、「ヴァレンティノ」は公式インスタグラムアカウントでアリシ・アキーズのライブパフォーマンスを配信するなど、オンラインで非日常に触れてもらう取り組みもしています。

Christian Dior, Designer of Dreams' at the Musée des Arts Décoratifs

また、巣ごもりで起きているクッキングブームに対応した取り組みも。「グッチ」は、フィレンツェにある美術館「グッチガーデン」内の人気レストランのレシピをYoutubeで公開。「3.1フィリップリム」もデジタル版の料理本を発売しました。

Cooking with the Gucci Osteria Chefs

 

日本での市場対応型プレイヤーの多くは#stayhomeの提案というより、計画通りに既存商品を提案。それにセール、バウチャーや送料無料をプラスして顧客に利便性とお得感を訴求するところが殆どです。春夏の稼ぎ時が消え、早期セールも必要になっているので頑張りどころです。「在庫をとにかく減らしたい」というのはどこも一緒。しかし、同時にエンゲージメントを誘うようなメッセージを発信していかないと顧客の離反につながると思います。今やっていることに、もう一工夫することで顧客に共感してもらえるのではないでしょうか。

 

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▼2017年10月以前の過去記事はこちら
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