山中 健

2020 16 Apr

トップメゾン、デザイナーが取り組む#flattenthecurve

4月7日に発令された緊急事態宣言。もうというかまだというか1週間以上過ぎました。国内のファッション業界では、店舗が次々と休業しており、いつでも好きなファッションを見に行けたあの日々が懐かしくさえ思います。

日本より早く、厳戒態勢に入った欧米のファッションキャピタル。そこをベースにしていたファッション企業は様々な取り組みをしています。今回から数回に分けて各社の取り組みをハッシュタグに沿って紹介していきたいと思います。

初回は「#flattenthecurve」。新型コロナウィルスの感染、死者数を示すカーブを平らにしようというメッセージです。インスタグラムでは1M以上のタグを見つけることができます。

ファッション企業の「#flattenthecurve」について取り組みはいくつかに分かれます。

 

1.医療団体などへの寄付

「ヴァレンティノ」、「ゼニア」、「グッチ」、「フェラガモ」、「トッズ」、「ディーゼル」などを擁するOTBグループ、「カルバンク ライン」を擁するPVH Corpなど欧米のトップメゾンや大企業がまず取り組んだのがこの支援です。特に先進国で最初にパンデミックとなったイタリアの企業が多く取り組んでいます。

 

2.医療現場の支援

医療用マスクや防護服を作るためにメゾンの工場を活用する取り組みも次々と初めています。このタイプの支援で私が最初に知ったのはアルマーニ。ミラノの帝王らしさで人々を感動させました。そして「ディオール」、「ルイ・ヴィトン」、「ゼニア」、「ブルックスブラザーズ」なども今は生産ラインを活用したり、アトリエで製作を行っています。よくテレビのキャスターやコメンテーターが「日本のブランドもぜひやってほしい」と言っていますが、日本では国内に直工場を持っているところが少なく、さらに持っていてもその工場の維持だけで大変なので、容易ではありません。様々なジレンマに悩んでいるのではないでしょうか。

3.生活者の啓蒙・サポート

トップメゾンだからこそ最大の効果を生むのは、その知名度を生かして生活者を啓蒙するという取り組みです。ヨーロッパのブランドは以前から様々な社会問題にスポット当てて啓蒙活動をしてきましたが、今回も様々な取り組みをしています。「グッチ」は自ら寄付するだけでなく、「フェイスブック」や「インスタグラム」のプラットフォームを活用して寄付ができる仕組みを構築しています。啓蒙活動の中で、今アパレル企業が取り組もうとしているのが、生活者向けにマスクを製作するというもの。防護力のある医療マスクを、医療や介護などの現場に回すよう、洋服や水着などの生地を転用して生活者に販売するというものです。その中で私が感銘を受けたのが、東京の新進デザイナー、「メアグラーティア」の関根氏の取り組みです。残布を利用してデザイナー自らミシンで縫ったマスクを無償提供しています。東コレも中止になり、取引チャネルも弱っているものにも関わらず、このような挑戦をしていることに胸が打たれました。

各ブランドの取り組み詳細などは、私が編集をしているアパレルウェブ「メゾンニュース」の#flattenthecurveタグからご覧いただけます。

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