上野 君子

2019 31 Oct

空き家はもったいない

最近よく話題になるが、全国に空き家が増えているらしい。2013年時点のデータで820万軒と、この20年で1.8倍。このままでいくと、2033年には3軒に1軒が空き家になるという。

 

私の周辺にも、親が昔住んでいた実家が、今は誰も住んでいないのにそのまま放置しているという人が何人かいる。

先日、また従兄に連れられて、誰も住まない親戚の家に行く機会があった(扉で使った写真は、庭になっていた柿です)。一度見てほしいといわれていたのだ。

今年70歳になる彼が学生時代に住んでいたというから、その家は建ってからゆうに半世紀は超えている。ご両親は20年程前まではそこに住んでいたが、息子(つまりそのまた従兄)が遠方に建てた二世帯住宅に移ってしまったので、そのままになっていたというわけである。

 

行ってみて驚いた。多少、ご両親の物も残っているだろうが、家の半分位は空き部屋になっているだろうと思っていたら、実際は想像を絶するありさまだった。

この間までここで生活していたという状態。物入れなど奥にしまってあった物が全部引っ張り出されているので、どの部屋もとにかく物、物、物なのだ。

また従兄も時々はたずねて少しずつ整理しているということだったが、思い切って捨てている気配はない。息子にとっては思い出の品だらけというわけであろう。

あの状態では、家族以外の他人が住むということは(いや泊まるのでさえ)まず不可能である。誰も住んでいない家というのは、当人や家族以外にとっては、ゴミ屋敷にしか見えない。

 

我が家の場合は、何段階か家のものを処分する機会があった。最初は、私が両親の家に入って母と一緒に住むという前提があったので、(もう自宅に帰って生活できないと分かっていた)父のものを思い切って処分し、私の荷物を入れることができた。

そして母のものは(私がうるさく言っていたこともあり)母自身がかなり自分で片付けていたことから、母が亡くなった時は片付けやすかった。今思うと残酷だったかもしれないが、そうでもしないと物というのは片付かない。

つまり、その家を売るとか誰かが住むといったさしせまった用途がない限り、いつまで経っても家を片付けることはできないのだ。

余裕のある人ほど、空き家をそのままに放置しているといえるのではないだろうか。

 

古い家でもうまくリノベーションすれば立派に生まれ変わる。売ることもできるし、場合によっては民泊にも利用できる。

その前に、とにかく物を片付けなくてはならない。これには時間もエネルギーも要するが、今は専門の片付け業者もいる(お金はかかるが)。

昨今のように災害が頻繁におこり、家を失ったり被害にあったりする人をニュースなどで見る度に、空き家を片付ければ、こういう人たちが住む家に活用できるのにもったいないと思うのだ。