久保 雅裕
強みを深化させる作業が必要
アトレ川崎のグランドオープン内覧会の続きの話。
4階にオープンしたピッツァが自慢の「Trattoria TAVOLA(トラットリア・ターヴォラ)」。サクサクの軽い生地が特徴で、水牛のモッツァレラチーズのマルゲリータは、耳まで軽くて一枚ペロリと行けてしまった。(^^;)
この店は、「ピザーラ」や「トゥザハーブス」「ジョエル・ロブション」などを展開する外食大手、フォーシーズの一業態だが、ターヴォラとしては川崎店で初めてワインのグラス売り用サーバーマシンを導入した。窒素ガスを注入することで約1ヶ月、状態の良いワインを提供できるという。赤、白、スパークリングの19種類を揃え、1杯480円からと価格帯はリーズナブルなものがほとんどで、高級ワインはセットアップされていなかった。同店の強みは軽くてサクサクが特徴のピザだが、もう一つ挙げるとすれば、このサーバーなのではないのか。初導入というなら、その強みをどう発揮するかが要となる気がした。すなわち「ボトルでしか飲めないような高級ワインを試したい」というニーズに応えられるはずなのだ。イタリアンという事もあり、バローロやバルバレスコ、アマローネなどがあっても良いだろう。またイタリアワインが中心だが、価格訴求もあり、新世界のワインも見受けられた。ならば、マルゴーやポイヤック、ポムロル、サンテステフ辺りも入れてみては?
仕事帰りに1人で立ち寄り、滅多に飲めないワインをグラスでいただけるなら、これはかなりの強みになると思う。もちろん、そこにはワイン談義のできるスタッフとの気の利いた会話が必要だ。これで顧客化も進むはず。
スタッフのレベルアップは、ファッション店舗にしても同様の課題だが、前述のように店舗の強みが何かを突き詰めて、そこに深化を加える事、つまりマシンだけあっても宝の持ち腐れで、「高級ワインをグラスで」という深掘り作業が必要なのではと思った次第だ。優れたファッション商品があっても、それを惹きたてる背景を語る事が深化で、そこにスタッフの人間力が加わり、鬼に金棒状態となるのでは?などと考えながら、店をあとにした。