久保 雅裕
飲食の顧客データも活用できる
アトレ川崎のグランドオープン内覧会でいくつかの店舗を回り、話を聞いた。その中でサザビーリーグが展開する「iBEER LE SUN PALM(アイビアールサンパーム)」というクラフトビールをイチオシにしたビアカフェがあった。渋谷ヒカリエ、二子玉川ライズに続く3店舗目だという。
実は丁度、筆者が編集長を務める「ファッション力」(季刊)2月発行号で「ファッションからアプローチするフードビジネス」をテーマに渋谷から原宿にかけての店舗の特集を行った。そんな事もあり、気になって見てみたのだ。
「オトナ女子に贈るビアカフェ新提案」とのことで、カフェ感覚でクラフトビールを楽しんでほしいと刺激的なグリルメニューなども用意して迎えてくれる。
アパレル業界の中で飲食事業への展開が進んでいる企業と言えばサザビーリーグとベイクルーズだ。ベイクルーズは確か数年前にブランド、カンパニー別だったポイントカードを共通化し、企業内のブランドで使えるように統一化したと記憶している。もちろん詳細な顧客管理は各ブランド、各店でのフォローなのは当然なのだが。これは顧客にとっては、ブランドが広がることによるポイントの使い勝手の良さがメリットとなる。一方ブランドでは知られていても、企業名としては意外と知られていないベイクルーズグループの弱点をカバーできる方策でもあった。現在ベイクルーズ内でファッションと飲食のポイントカード共通化が図られているかは定かではないが、サザビーリーグでは「飲食事業とファッション事業のポイントカード共通化を図っているのか」尋ねてみると、やはり未だとの答え。飲食事業をファッションと同レベルでのライススタイル提案と考えるなら、対象となる顧客は全てが重なる訳では無いにしても、同じセグメントの客層が相当数あると考えられる。だとすればAIを使ったビッグデータの活用という視点から、自社の資産でもある顧客データを一元化して、顧客にとって適切で有効なアプローチを行える土壌があるのではなかろうか。1人の人間はファッションも楽しめば、美味しい食事も求め、オシャレで健康的な食材(サザビーリーグは「AKOMEYA TOKYO(アコメヤトーキョー)」という食材店も展開している)とも出会いたいのだ。飲食事業を展開しているファッション企業の更なるCRMの進化が求められている。