久保 雅裕

2019 26 Mar

今一度言おう、東京ファッションウィークの早期化を!!

オフスケジュールで行われた「シー・ナウ・トウキョウ(see now tokyo)」の「コール(koll)」

「アマゾンファッションウイーク東京」が3月18〜23日、渋谷ヒカリエと表参道ヒルズを主会場に開かれた。51ブランドがショーを行い、関連イベントも合同展、ポップアップストアなど渋谷を中心に数多く開かれた。オフスケジュールのショーも各所で開かれ、スキップせざるを得ないブランドも出てきてしまうような過密スケジュールの日もあり、もう少しバランス良く配置できないものかと思う。筆者が注目するブランドは、後日、紙媒体の『ファッション力』とウェブメディア『アンコール(encore)』で紹介するので、チェックしていただければ幸いだ。

さて話は変わるが、先週来日した親日家のパリ・ショールームオーナーと話した。複数のメンズ、ウィメンズ、キッズのエージェント業務をこなす彼のショールームでは、1年間の約半分をマレ地区のアパルトマンを押さえて業務を行なっているという。話の中でオーダーの締め切りについて話題となった。当然、締めの順番はキッズとメンズが早く、ウィメンズが最後という認識があり、いつ頃締めるのかを確認してみた。すると、ショールームをやっているアパートの契約期限、つまり明け渡しの日が、春夏であれば9月15日、秋冬であれば2月28日だという。その後はもう「オーダーは取らない」、いやむしろ「取れない」という事らしい。これは別にアパートのオーナーの都合や契約期限の理由などではなく、彼のショールームの方針だそうだ。この間のパリ・トレードショー、ショールーム取材で、多くの人たちから、「本コレよりプレコレに比重が移っている」「もう3月での買い付けでは遅過ぎる」という声を山ほど聞かされてきただけに、彼の言葉は、重みを持って受け止めざるを得ない。

翻って我が国、日本のファッションウィークが、「果たして3月と10月の中旬で良いのだろうか」という従前からの疑問に改めてぶち当たることになる。「生産キャパ確保のしやすさ」や「納期の早期化希望への解決策」といった面からも、オーダー時期の早期化は理に適っている。それに合わせて、ファッションウィークの前倒しも本気で考えていかねばならない。NY前の2月と9月の上旬に照準を合わせ、川上を含めて、この課題対応に真正面から取り組んでいかなければ、「海外販路開拓できない日本のファッション業界のサイクル」というレッテル貼りをされてしまう危惧すら感じているのは、筆者だけではないだろう。今一度言おう、東京ファッションウィークの早期化を!!

展示会で着実に取引先を広げてきた「マラミュート(malamute)」