久保 雅裕

2020 22 Mar

新型肺炎自粛、誰が損する?

4月に延期したジャンブルのホームページより

「楽天ファッションウィーク東京」の中止が3月2日に発表され、それ以降、スパイラルホールで開かれた「マグ」とベルサール渋谷ザ・ガーデンで開催された「ジタック」以外の合同展が軒並み中止となった。「ジャンブル」(※4月に延期)、「プラグイン」「PR01トレードショー」「パサージュ」「ファッションワールド」などは主催者の判断により、開催を見合わせた。ここまでは、各主催者の判断による訳だが、あくまで自粛要請なので、政府にその賠償責任はなく、主催者の損害となる。

先週末の感染症対策専門家会議の発表に合わせて、政府は大規模イベントの自粛について、引き続き主催者にその採否を委ねることになった。併せて、地域ごとには感染状況を見ながら、休校やレジャー施設の再開も進められることとなった。

一方欧州では、感染がオーバーシュートしているイタリア、スペイン、フランスなど罰則規定も盛り込んだ外出禁止令や薬局と生活必需品関連以外の店舗閉鎖命令が出されている。ドイツのメルケル首相は国民に向けて、団結して乗り越える事を訴えた。

日本ではこの3連休、その好天気も手伝い、さらに「お花見気分」も人々の気持ちを誘い、自粛要請を無視する宴会も様々なところで行われたようで、日本と海外の景色の違いが際立った。

これほどの対応の違いには、狩猟民族と農耕民族の違いがあるのかもしれない。決めたら一気呵成にドラスティックな対応ができる瞬発力のある狩猟型と、じっくり、ゆっくりと稲を育てる農耕型。さらには不安遺伝子を多く抱えるからなのか、「石橋を叩いて渡る」の如く慎重に、なかなか決断できないのも、そのせいなのか。

しかし欧州と決定的に違うのは、自粛に伴う収入減に対して、国がとる対応の違いも大きい。フランスでは、収入を補償するとしており、国民の多くがこの緊急事態宣言を支持している。日本では、事業者が申請しなければもらえない補助金、フリーランスはその約半分の額。さらには個人・中小事業主には融資しかない。全く以ってお粗末だ。結局、経済が優先なのか、国民の命が優先なのか、その狭間で迷い悩んでいるようにも見えてしまう。オリンピックの延期または中止についての逡巡も同じ理由だろう。

国内でオーバーシュートが起こらないことを願いつつ、このコロナウィルス禍がもたらすマインドセットについて、次稿で述べたいと思う。