北川美智子
新しい時代の合繊の魅力 =第一織物展=
90年代のバブル崩壊後、自然回帰や技術開発が大きく躍進しました。
天然繊維も化合繊も各々の特徴が見直され、機能性を中心にスポーツ分野とドッキングしエコへの対応、伸縮性やウォッシャブル、通気性など垣根やジャンルを超えライフスタイルの中で不可欠となった合繊は新しいステージを迎えました。
福井の第一織物(株)が「高密度のかたち」をテーマに9月10,11の両日原宿駅前のWITH HARAJUJU 3階に於いて展示会を開催しました。
ポリエステル高密度織物で定評のある同社はグレード感を持たせながら他社との差別を図り、国内外のブランドに広く取り入れられていますが、その特徴は自社のポリシーを護り、アパレルのデザイナーやMDとの入念な話し込みによるもの作りにあるといえるようです。
他社との共同開発も盛んに行われ、今シーズンは秋冬を新な意識でとらえたニッケグループとのコラボは興味深いものがありました。
第一織物 「高密度のかたち」 の概略をお伝えします。
会場では自社ブランドのDicros(ディクロス)の進化についてと三つの進化(糸の進化・織りの進化・ウールとの進化)が提案されました。
Dicros
'96年にスポーツとファッションの融合をアッピールしたポリエステル素材Dicrosは2025年に更に進化を遂げ、ニューバージョンとして「リサイクル」や「フッ素フリー」「新たな形状記憶・表面変化」を訴求。
Dicros×soloではバイオ仕上げ、フッ素フリーの撥水性、微光択のあるものが開発された。
Dicros×ナイロンではライトタフタに見るようにナイロンのリサイクル糸を使いフッ素フリーや軽量化をうたった。




三つの進化
・糸の進化
独自のナイロン糸を使った染色効果。絣調や微妙な陰影が特徴。


・織りの進化
solotex(ソロテックス)をタテに低収縮(伸びない)ポリエステルをヨコに使ってシボを出すなど。


・ウールとの進化 ニッケグルーと創るウールの新しいかたち
ウールとポリエステル、ウールとナイロンの糸の組み合わせを、タテやヨコ、裏や表に使う。微妙な表面効果、目面のきれいさを狙う。


新しいエレガンスや機能性を盛り込んだ合繊の魅力を再発見する展示会です。