北川美智子

2025 30 Aug

2026年に向けて 新生 Tokyo Textile Scope がスタート

 例年にない異常気象の襲撃となった春から夏の私たちの生活は目まぐるしく変わる社会現象に振り回されつつ、猛暑もトランプ関税も明確な解決が見えないまま夏が終わろうとしています。
 モノつくりも流通も消費者の購買意欲も刻々と変わり少し先の予測を立てるのも難しくなりました。
 残念ながらこの不確かさはまだまだ続くようです。
 SNSやAIで急速に進化した日々の生活の中で、理不尽と思いつつも確実に時が過ぎ季節は変わりますが、体感温度は例年と大きく差があり気温の上昇は様々な場面で影響を与えています。
 そんな中で新たなライフスタイルが生まれ、消費にも変化が起こり今までには無かった令和のファッションプランが提案されています。
 ファッションが持ち続ける役割は新しいステージでも様々な融合を生み新しい世代へと受け継がれ更に進化していくことに夢と情熱を感じます。

 素材展も素材にとどまらずもの作りから流通、消費者までのマーケティングからプロダクトアウトまでの全てを捕らえ、世界に発信するようになりました。
 Premiere Vision展、ミラノウニカ展は世界のリーダー格の素材展として開催されていますが、そこに参加する出展各社も来場者も、あるいは発信される情報への対応も、質やスピード感と共に大きく変化しています。
 日本の最大のテキスタイル展であるJAPAN CREATIONやPremium Textile Japan展も「TOKYO TEXTILE SCOPE」(TTS)として新しいスタートを切りました。
 個性豊かな各産地の展示会、独特の技を誇る産地の代表が集まった素材展、合繊メーカーや紡績、産元、商社が開催する展示会も様々な形で個性を大事にすると同時に連携を取り発展していこうとしています。

 五月に開催された新生JFW—TTS東京テキスタイルスコープは2026年S/Sに向けてPTTとJFWを合体させ、あらたにPVの参加によりミラノウニカと共に国際色を広げました。
 社会、経済、政治、生活そしてアートやスポーツ、科学や医学などすべての分野が新たな局面を迎えています。
 足元の市場やもの作りの現場とのつながりを確かめつつ、2026年春夏シーズンを受け入れたいものです。

 展示会報告としては遅くなりましたが日本の素材作りの奥深さを物語る2026S/Sに向けのテーマと方向性をお伝えします。

 

TOKYO TEXTILE SCOPE 2026 Spring/Summe  ではシーズンの方向性として「安堵する世情」を挙げている。
 これはますます複雑化する世の中に生きるものとして人にも自然にも安心感、安堵感が必要とされ、あらゆるものに優しい愛が求められると唱えている。

四つのテーマ

〇 風の音、水の音 (Sound of Winds & Water)
 水や空気、風など命の源が奏でる音を聞く。
カラー:自然の営みや静けさを感じさせる透明感のあるデリケートで潤いのあるカラー

 

〇 デート  (Dating)
 胸弾むひと時、青春時代の思い出、笑顔溢れる人々との出会いに心満たされるものを感じる。
カラー:春らしい柔らかな甘酸っぱいファンタジックな色

 

〇 陰陽 (Yin-Yang)
 闇夜の国から現れて穏やかな日々の暮らしや無病息災を祈る。
 呪文をかけたり占ったり陰と陽の間で宇宙に向かってミステリアスに動き出す。
カラー:ミステリアスでクールな不協和音を感じる色

 

〇 オタクカルチャー(Otaku Culture)
 自分にとって夢中になれるものへの想いを深める。
 自分の世界を極める。
 なりきる。
 想像の世界を膨らます。
カラー:様々な異文化やキャラクターを表すポップでスマートなデジタルカラー。
 ビビッドで意思を感じさせる。

 

 

INDEX
 出展各社のイチオシ素材を一堂に介するコーナー。
 シーズンのダイジェスト版として発信力が期待されている。