武田 尚子

2023 10 Apr

パリの歴史的カフェをテーマに

国内インナーウエアブランドの中でも、毎シーズン、他に先駆けて内見会を開いているのが「ランジェリーク」(カドリールインターナショナル)。2023秋冬物を3月中旬に発表した。
毎回、フランスからインスピレーションを得たものが多いが、今回は“Amorphous”をテーマに、20世紀初頭のパリ・モンパルナスのカフェ文化をイメージしたコレクションを展開している。
グループ名である105(ソンサンク)、108(ソンユイット)、102(ソンドゥ)は、モンパルナス大通りにある3つの有名カフェの番地だという。

105番地にあるのは赤い空間がドラマチックな「ロトンド」で、そのコレクションにはベルエポック時代を彷彿とさせるオリジナルレース、ドットのチュールレース、艶めくサテン生地を使用している。今シーズンは全体的に色味を抑えている中で、このグループの赤や紫が匂い立つ。ラウンジウエアにはドットがアクセントの植物画のリバティプリントを。

108番地にあるのは、モンパルナスで最も歴史あるブラッスリー「ドーム」。その店舗デザインのように、アールヌーボーとアールデコのミックススタイルを意識したコレクションになっており、直線の柄を活かしたトルコ製オールオーバーレースと抽象的な植物柄のフランス製リバーレースを効果的に使った。
このグループには、シルクコットン丸編みリブ(オリジナル)のニットインナーも新たにラインナップしている。

そして、102は高い天井の開放的な造りの「クーポール」。アールデコ様式の建物として知られるここにちなんで、直線的なアールデコ調リバーレースとオーガニックコットンの針抜き天竺を組み合わせところが新鮮で魅力的に映る。

さらに、定番のベーシックラインが充実しているのも同ブランドの最近の傾向だ。身につけていることを忘れてしまうような着心地の良さを目指したシルク織物のグループをはじめ、コットン100%天竺とフランス製のクラシカルなコード糸使いのレバーレースを組み合わせたスリップなど、同ブランドらしい素材のセレクトはやはり希少価値といっていい。