武田 尚子

2023 17 Apr

オーストリア発・多機能なボディウエア

ポストコロナの再出発ともなった「2023パリ国際ランジェリー展」は、クリエイティブな独立系ブランドを集めたEXPOSEDを中心に、コロナ禍の間に成長したともいえる次世代ブランドがひしめき合っていた。

新規出展の中でも、まずそのブランド名に吸い込まれるように話を聞いたのが「STUDIO MIYAGI」。オーストリア・ウィーンを拠点に、2017年にスタートしたブランドだ。
「MIYAGI」とは、1984年のアメリカ映画「ベスト・キッド」に出てくる空手の先生の名前からとったもの。空手を通して成長していく少年を描いた映画だが、ミヤギ先生のスピリチュアルな姿勢をブランドコンセプトにしているという。

クリエーション側、ユーザー側ともに、今の中心層ともいえる世代は、1980年代カルチャーを新鮮にとらえる面があるようだ。
「STUDIO MIYAGI]においても、ハイレグや大胆なアシンメトリーなど、80年代風のボディを強調するようなシェイプやカッティングが目につく。

オーストリアといえば、パルプ由来の素材を得意とするレンチング社で有名だが、エコフレンドリーでサスティナブルであることは次世代ブランドにとっては既に当たり前であり、「STUDIO MIYAGI]はすべてオーストリア製の素材を使い、オーストリア国内で生産を行っている。

そもそもインナーウエアとアウターウエアの明確な境界がなく、多機能で汎用性のあるシンプルなボディウエアを特徴にしている。オフィスから、ヨガ、フィットネス、部屋着まで、組み合わせによってあらゆるシーンで着用できる。
この多機能こそが「サスティナブル」といえるかもしれない。

シーン別に「着替えること」が豊かで文化であると考えていた旧世代の人間にとっては、究極は「着替えないこと」がエコフレンドリーであり、真にサスティナブルであるかもしれないと気づいたりするのだ。もちろん、このブランドがそう明言しているわけではないが。