武田 尚子
ダンスやスポーツの要素を取り入れたランジェリー
パリのランジェリー展(ビーチウエア中心ではあるが)が9月上旬に復帰!というニュースが入ってきたのは5月だが、開催1か月前を過ぎても何の情報も入ってこないところをみると、きっと思い通りに進んでないことが予想される。開催されたとしてもショールーム程度、展示会としてはオンライン中心なのではないだろうか。
デルタ株の次も出現しているところをみると、さらに長期化、常態化しそうな、このコロナ。以前のようなスタイルにもどることはあまり期待しない方が良さそうだ。
いずれにしても、業界の商品サイクルは大きく変わり、シーズンごとに新しいコレクションを発表するという以前のビジネススタイルは影を潜め、定番のマイナーチェンジや継続品の新色追加が増えている。供給側から発信される商品情報も、発売間近のリアルシーズンが中心で、それがそもそもいつのシーズンのものなのか明記されないケースが多い。
私たちプレスの人間にとっては、国内外ともに以前のように展示会に出かければメーカーやブランドとのコミュニケーションがとれていた時とは大きく異なり、こちらから積極的にアプローチしなくては情報が集まらない(お伺いをたててもリアクションがないケースも少なくない)。海外、しかも顔を合わせたことがない新しいブランドなどはなおさら難しい。
そういうなかで、海外でもまめにメールで情報を提供してくれるブランドがあるのはありがたい。
近年、パリ国際ランジェリー展で新しい風を吹かせていたブランドの一つ、スロベニアの「ミラクラスナ(MilaKrasna)」もそんなブランドだ。
ダンスやスポーツの機能を入れながら、ランジェリーを構造的、建築的にとらえ、躍動するからだの美しさやセクシーさを表現している。今や競技の仲間入りを果たしているポールダンスのような見せる要素にも対応し、時には水着も併用。単品ではベーシックなデイリーランジェリーとして着用できるものも少なくない。
新しい傾向としては、新色(マツダブルー、マリーゴールド、ヌード)を追加しているほか、スポーツ要素を保ちながら、透明性のある素材やレーシーな素材で、よりランジェリーらしいグループを発売している。
ニッチではあるが、あまり競合のないユニークな切り口のブランドとして、今後にも注目したい。