武田 尚子
2023
13
Feb
グリーンコットンを鉄媒染
再生繊維やオーガニックコットンなどの素材の選択に続き、染料や染色についても、地球環境に負荷をかけないものをという意識が高まってきたことを、今回の海外取材を通して感じてきた。
国内オーガニックコットン市場のリード役であるアバンティのオリジナルブランド「プリスティン」は、あえて染色をしない生成の色を特徴にしてきたが、先日、新しく「カラードポプリンシリーズ」の販売を開始している。
これはオーガニックの中でも希少なグリーンコットンを使用したポプリンの生地を、化学染料を使わずに鉄で媒染して色をつけたもので、普段の生活になじむ落ち着きのあるグレイッシュな色となっている。
「カラードポプリンシリーズ」の染色を行っているのは、兵庫県西脇市にある東播染工。糸を先染めにして平織にする手法により、国内先染織物の7割のシェアを誇る北播磨地域の中でも、同社はすべて国産にこだわり、染色、サイジング、織り、加工までを一貫して自社で行っている。同じ条件や同じ処方で染めてもなかなか色が合わないという、天然繊維ゆえの染色の難しさを微妙に調整できるのは、長年受け継がれてきた伝統に裏付けられた職人の技である。
ポプリンの程よく張りのある風合い、洗いざらしともちがう綺麗な見た目を活かし、ビッグシャツ、ボックスタックパンツ、シャツワンピース、オールインワンの、着やすい4アイテムを展開している。
まさに、プリスティン2023春夏シーズンのテーマ、”大地の恵み“を感じさせる新シリーズといえる。