武田 尚子
パリ路面店に見るランジェリーの今
三寒四温を繰り返しながら、確実に春が深まり、初夏へと向かっているこの季節。
パリでも暖かい日は、太陽を待ちわびた人々で、外の通りは賑わいを見せているようだ。
マレ地区を中心にしたパリの路面店の写真から、ブランド直営を中心にヨーロッパのランジェリーマーケットの一端をのぞいてみたい(写真撮影:磯部美保)。
まず、ボンマルシェなどの百貨店でもおなじみの「Love Stories」。オランダ・アムステルダムに本社のあるブランドで、服を選ぶようにおしゃれが楽しめる。
そういうファッション系のブランドでもサイズを幅広くそろえているのがヨーロッパらしい。
プリントを含めたカラフルなランジェリーを特徴としているが、撮影時は白でウインドゥディスプレイをまとめていたのが印象的。アイテムや素材は多様で、そのバランスが絶妙だ。
近年、百貨店ランジェリー売場のスター的存在となっているのが「LIVY」(リヴィ)。
繊細で大胆、クールでセクシー、フェミニンでモダンな持ち味はアートのよう。
実は、次に紹介する「YSE」とともに、エタムグループ傘下のブランドであったことはあまり知られていないのではないだろうか。
「YSE」(イセ)はもともとバストの小さな人を対象にしたブランドだったが、エタムグループに入ってからはあらゆる女性を対象に、幅広いサイズ展開に変わっている。パッドの入らないナチュラルなソフトブラのコンセプトはそのまま。
伝統あるフランスの小売りチェーン「エタム」も、オリジナル商品による充実したMD構成で底強さを感じさせる(写真はオペラ地区の店舗)。グループ全体では、世界55か国1374店を展開しているという。
そして、ファーストリテイリングの「プリンセスタムタム」。パリの主要百貨店からの撤退などはあるものの、路面店ではこうしてがんばっている。今は次なる変化の時か。
パリの人々はそろそろ夏のヴァカンスの準備だろうか。リゾート感覚のものが目につく。
それにしても、歴史を感じさせるパリの建物のファサードに、ランジェリーはよく似合う。