武田 尚子
地殻変動が始まっているインナーウエア業界
2018「パリ国際ランジェリー展」(秋冬コレクション)が閉幕した。私としては今回で連続32回目(春夏コレクションの「モードシティ」を含めると合計60回)。まる3日間、朝から夕まで会場につめて、取材を行った。
毎回のことだが、体力、気力の限界との闘い。今回は正直言って今まで以上にきつかった。情報が多すぎる。まさにカオス状態。
インターネット時代らしく、もはや複雑化、肥大化する情報をすべてカバーすることは不可能だが、これまでの推移の上に立ち、なるべくニュートラルな視点で「今」をとらえてみたい、伝えたいと思っている。となると、ある程度のインプットが必要になってくるから駆け回ることになる(日本のように効率よく時間が使えないから尚更)。
「昔はよかった」と過去を懐かしんではいられない。動き続けないと生きてはいられないという時代になってしまった。
詳細は2月末のセミナーまでお待ちいただきたい。
出し惜しみしているわけではない。膨大な量の情報(インタビュー、写真、その他)をまとめて、整理し、自分なりに伝えたいストーリーをまとめるまでに、最低限それだけの時間が必要なのだ。
「今回のトレンドは?」とよく聞かれるが、一言では答えられないこともご理解いただきたい。
これが「トレンド」という答えがスコンとお膳立てされているわけではない。
一人ひとり、その人の個のフィルターを通して、今の動きをどうとらえるかであろう。誰のフィルターを通った情報なのかということにつきる。
これだけ確かに言えるのは、確実に時代が変化していること。
目に見える商品動向ではなく、その背景にあるビジネスの変化も加速度を増してきたようだ。
生来の動物的勘で、何やら地殻変動が始まっているなと思っていたら、「『ラペルラ』が中国資本に買収」いうニュースも聞こえてきた。
日本国内だけにいると、なかなかこういう時代の空気を肌で感じることはできない。
目をつぶっている方がラクかもしれないが、それを体験してしまうと、先に進むしかない。それは私のような記者も、ビジネスマンも同じ。
わざわざ海外に出る必然性はないと考えている国内業界関係者に、その辺のことを理解してほしい。現状はそれで済んでも、未来が大きく違ってくるのではないかと思う。