武田 尚子
2018SIL「デザイナー・オブ・ザ・イヤー」
毎年、年が明けると、あっという間に「SIL:パリ国際ランジェリー展」(ユーロヴェット社主催)取材が加速度を増して近づいてくる。
今回の目玉ニュースとしては、昨年末のINNER通信でもお伝えしたように、展示会恒例の「デザイナー・オブ・ザ・イヤー」にワコールヨーロッパ(㈱ワコールホールディングス100%子会社)の「ワコール」ブランドが受賞したことがあげられる。日本企業初の受賞だ。
同賞は発足当初は、どちらかというとブランド育成も含めて、将来性のある有力でクリエイティブなデザイナーのブランドが対象とされていたが、近年は特にランジェリー製品の方は既に市場実績のあるナショナルブランドが増えた(昨年は「シモーヌ・ペレール」、その前は「ハンロ」)。
今回の受賞はあくまで同展に出展している現地法人を対象としながらも、その背景にある日本企業であるワコールの歴史や卓越したノウハウも含めた受賞であることは間違いない。
欧州市場におけるシェイプウエア(体型補整ファンデーション)市場のリーディングブランドであると共に、美と機能が融合したイノベイティブな商品開発が評価理由となっている。
2018年春夏シーズンから新展開する軽くボディコントロールする「セクシーシェイピング」に続き、2018年秋冬シーズンからは、日本のワコール人間科学研究所の知見と欧州のトレンドやランジェリー文化を融合して開発した「Opulence」シリーズ(冒頭写真)も登場。
「現在、欧州のランジェリー業界のトレンドは、“Body Positive”と言われており、からだを美しく整 えるとともに、快適さも提供することが求められています。ワコールが欧州で展開するこれらのコレク ションはこうしたトレンドを捉えた商品として、より多くの女性の支持を受けるものと考えています。」(ワコールホールディングスのニュースリリースより)
ワコールヨーロッパのワコールブランド・ランジェリーディレクターに就任して1年余りが経つ若代祥世さん(1990年ワコール入社、2011年中国ワコールに就任)はこう話している。
1990年のフランス進出から28年目。2012年には欧州全域への事業拡大を目的に英国イヴィデン社を買収し、2015年から㈱ワコールヨーロッパと社名変更して今日に至っている。
その経緯を拝見してきた者として、今回の受賞が次なるステップにどのような意味を持つのかをしっかり見てきたいと思っている。