武田 尚子

2024 17 Dec

メリノウ―ルの季節

日本の四季も極端な変動を見せる中で、天然繊維のインナーウエアの選択肢の一つとして、メリノウ―ルの認知度が増している。
ウールといえば日本では秋冬のイメージが強いが、世界的にはオールシーズンの素材。日本でも酷暑の真夏をのぞけば(いや、真夏でも極寒の環境にいる人もいる)、気温の変化に応じて上手に使い分けできる。

ウールの中でもメリノウ―ルはプレミアム性の高い素材だが、「アイスブレーカー」はトレーサビリティを基本に、契約農家から提供される高品質なメリノウールだけを使用している。ちょうどシャンパンがフランスのシャンパーニュ地方で生産されたものだけにその名がゆるされているように、自然豊かなニュージーランドで育まれたメリノウールだけを使用する、まさに「シャンパンファイバー」というわけだ。

同ブランドはニュージーランドで誕生して、ちょうど30年。今は「ノースフェイス」と同様、グローバル企業であるVFコーポレーショングループの傘下ブランドとして、安定した歩みを見せている。
本社のヤン社長は、「アイスブレーカー」の目指すべきポジショニングについてはある3ブランドを掲げ、そのパフォーマンス性、アウトドア性とデザイン性、環境配慮への意識という3つのトライアングルを示し、その中央にある「ナチュラルパフォーマンスアパレル」として成長させていく戦略を打ち出しているという。

12月上旬、TFTホールで開催された2025秋冬ゴールドウイン総合展における「アイスブレーカー」のブースでは、コアアイテムのベースレイヤーをはじめ、アンダーウエアからアウターウエアまでの幅広いアイテムと素材バリエーションを一堂に見せていた。
メンズとレディスの比率は、およそ6対4。日本企画(品番の2割、売り上げでは4割)をバランスよく組み入れながら、定番を強みにブランドブランド全体では前年対比10%増で推移している。
レディスについては、カップ付きキャミソールといった日本市場に合ったアイテムをはじめ、シーズンごとの新色をうまくさしこみながらリピート買いを促進している。


今秋は、伊勢丹新宿店のランジェリー売場、マ・ランジェリーで初のポップアップを展開。同店の顧客に支持され、1週間で予想をはるかに上回る業績を上げており、日本市場での定着に向けて楽観的な展望が見えているようだ。
ブランド全体の当面の課題である直営店出店をはじめ、今後の成長が楽しみなブランドといえる。
(写真は同ブランド提供)