武田 尚子
あらゆる女性のために
最近、世界の新しいランジェリーブランドにある共通項がある。
それは、「あらゆる女性のために」という意識だ。
パリに上陸した「SKIMS」は、若者に絶大な支持を得ているキンバリー・カーダシアン・ウエスト(アメリカのソーシャライト、TVパーソナリティ、モデル、女優)のランジェリーブランド(一時「KIMONO(キモノ)」というブランド名で批判受けて変更したのは記憶に新しい)。補整下着をはじめとするベーシックなアイテムが中心で、サイズはXXS~5XL、スキンカラーも10色位ある。つまりあらゆる体型、多様な肌の色に合うものがあるというわけだ。
また、2014年に2人の女性でスタートした「NOO」は、一味違うおしゃれさとリーズナブル価格が魅力のフランスブランド。製品1点買い上げごとに、アソシエーション通じて、経済的に困っている女性にショーツを1点プレゼントする試みを行っている。
なぜ、そのような活動をしているかというと、次のようなコメントが。
・新しい下着を持つことは贅沢だと思われているから
・経済的に困難な状況にいる女性の多くが下着に困っているから
・下着のようなインティメイトな製品を贈るのは簡単なことではないから
日本でもこういった動きは、若い世代のブランドから始まっている。
平成元年生まれの2人の女性による「アルバージェランジェリー」は、2020年秋冬商品の売り上げの一部からフェムテック関連商品を購入し、東京善意銀行を通して都内の児童養護施設へ寄付活動を実施。その結果、東京都の福祉施設へ経血給水ショーツを50枚寄付することができたとしている。
また、女性に寄り添うランジェリーを展開している「ナオランジェリー」は、すべての女性の命と健康を守るための活動を行う国際NGOジョイセフによるプロジェクト、「I LADY」とのコラボレーションを発表し、オリジナルショーツを制作した。
伸縮性にとんだストレッチ素材に、トリミングカラーとフロントの“LOVE”の文字がアクセントになったもので、シンプルながらやさしい雰囲気。クロッチ部分にはオーガニックコットンが使用されているので、デリケートな肌の人も安心して着用できる。
デザイナーの栗原菜緒さんは今回のコラボについて、以下のようなコメントを発表している。
「ナオランジェリーは“女性の尊厳や誇りを包み守る”というコンセプトのもと活動や発信をしています。尊厳とは“すべての人が心と身体が他者から支配やコントロールされることなく、自由な選択肢をもって生きられること”だと考えています。I LADY.キャンペーンのスローガンに共鳴し、ともにメッセージを世界中のすべての女性へ届けたいと思いました。また、今回ピア・アクティピストの皆さんと制作した、女性の象徴のひとつでもある子宮を包むショーツを身に着けていただくことで、自分を大切にするという感覚や体験を届けたいです」
今回の売り上げの30%がジョイセフに寄付されるのに加え、ナオランジェリー公式オンラインショップでは日本の養護施設へ寄付できるショーツとしても販売していて、養護施設の女の子たちに直接プレゼントされるという。
ショーツは3種類で各2300円、3点セット6500円。