武田 尚子
渋谷西武のニューフェイス
前から気になっていたブランドの常設売場が、この夏、西武渋谷店にオープンしたというので、行ってみた。
ランジェリーフロアのインポートエリアの正面で待っていたのが、「Maimia(マイミア)」
サテンにフランスのリバーレースをあしらった立体的なバルコネットブラとブラジリアンショーツ、いかにも着け心地の優しそうなトライアングルブラとタンガショーツと、いずれもニュアンスのある美しい配色に引き付けられる。
ガーデンドレス、ガーデンガウンと称したラウンジウエアも魅力的。
これは、デザイナーの神成舞さんが2018年に立ち上げた、正真正銘、日本のブランド(日本国内の縫製工場で生産)だが、インポートブランドの中でもまったく違和感がない。
ブランド誕生の背景を知るために、神成さんのプロフィールをのぞいてみると…。
1990年東京生まれ。学習院大学卒業、慶應義塾大学仏文科研究科博士(19世紀ロマン主義作家、アルフレッド・ド・ミュッセを研究)。
エスモードジャポンでのデザイン授業の通訳を務める中で、ランジェリーに興味を持ち、バンタンキャリアコースランジェリーデザイン科で基礎を学ぶ。
2008年に会社設立し、最初のコレクション“マラケッシュ”でデビュー。2019年のアンテルフィリエール上海では、若手ブランドのコンテストで3位に入賞している。
来年1月のパリ国際ランジェリー展にも出店予定で、今後の活躍が期待されている。
これまでも、ECやいくつかのセレクトショップでの販売、また主要百貨店でのポップアップストアを展開してきたが、百貨店の常設売場としては西武池袋店と西武渋谷店の2店となる。
“The dressed you and the nude you. What about the you in between?” =“服を着たあなたと裸のあなたの間の、もう一人のあなたをインスパイアしたい” をコンセプトに、"日常使いの最高峰”のランジェリーを提案したい――こう聞くと、もっと話が聞きたくなってきたが、それは次の機会に譲ることにした。
それにしても平日午後の百貨店は、人影がまばら。どの売場も販売スタッフの人数の方が多い。
このように常に新しいブランドを紹介しながら、ファッションの楽しさやいろいろな刺激を与えてくれる場所であり続けてほしい――こう願っている人は少なくないと思う。
2020春夏のテーマは「ISOLA BELLA (イゾラベッラ)」。北イタリア・マジョーレ湖に浮かぶベッラ島の宮殿にあるバロック宮殿をイメージしている(写真はすべて神成さん提供)。