武田 尚子
ペチコートに注目したい
「Fleep(フリープ)」(島崎)の2019秋冬物は、定番のシンプルシリーズが全面リニューアルし、パターンや縫い目の一つ一つに至るまで見直しを行った。ブラは特に乳がん体験者の声を反映させ、衿あきを広げて、カップ裏のダーツをなくし、パットを入れるポケットを使いやすく改良。ボトムは、ウエストのパワーネットを一重にしてソフトにしたり、股下の接ぎ目をなくしたりと、さらに肌当たりの優しいものになっている。
その他のシリーズも、新しい色やアイテムの追加など、それぞれに充実しているが、そういう中で目を引いたのが、単品として提案されているワイドパンツ用キュロット(税込3348円)。
昨今トレンドのガウチョパンツやワイドパンツのアンダー、つまりペチコートとして開発されたもので、既にこの春夏シーズンから発売されているが、これが大人気だという。
脚の部分はキュプラ混トリコットでムレやべたつきを抑え、まとわりつきや静電気もおきにくい。また、幅広のウエスト部分はゴムではなく、スマイルコットンのベア天でソフトにフィットし、食い込みにくい仕様になっている。
下にあるように、トイレでもボトムの裾が床につかずに便利というわけだ。
考えてみると、インナーウエアの中でもペチコートは死語となり、売り場の中でもほとんど見当たらなくなったが、私は常日頃からこれを不思議に思っていた。
もともとスリップなどランジェリーの基本的機能は、アウターのすべりを良くしてシルエットを美しくするところにある。婦人服に裏地があまり使用されなくなっているからこそ、夏は透け防止や防汗、冬は防寒対策としても、ボトムはスカートやパンツの下にもう一枚重ねたい。
この「Fleep(フリープ)」のキュロットは、機能性や肌触りを重視したものだが、他のブランドから提案するとしたら、デザイン性というアプローチもあると思う。まさにおしゃれなスカートを二枚重ねる感覚。
夏はコットンレースやプリントのペチコートを透け感のあるスカートに合わせてみるのも楽しいし、冬ならキルティングのような軽くふんわりしたペチコートがあれば温かいだろう。遊びの要素もたくさんある。
特に、今のように服がゆったりしたシルエットの時は、絶好のタイミングだと思うが、どうだろう。もちろん、すきまアイテムだが、新しい需要が喚起できそう。