武田 尚子
「天使のブラ」25周年に思う
トリンプ・インターナショナル・ジャパンの代表的商品である「天使のブラ」が発売されて25年。この節目を記念するイベントがこの度開催された。
会場には、1994年のデビュー当時から今日に至るまでの商品がズラリ並び、中央のステージでは歴代キャンペーンガールによる新製品のショーも行われた。
ヴァンサン・ネリアス社長の挨拶にあったように、「その時々の女性のニーズに合わせて進化し、まさに女性と共に歩んできた」という姿勢が込められているのがこのブランド。
毎シーズンの記者会見の度に、新しい機能が加えられ、また改良を重ねていった「天使のブラ」の進化の過程が懐かしく思い出される。
考えてみると「天使のブラ」の登場は、日本経済のバブル崩壊がいわれながらも、インナーウエア市場は堅調であった時期。特に外資系企業であるトリンプにとって、ジャパン社が世界をリードしていた時期の象徴的な商品(ジャパン社発のオリジナルブランド)であった。
より重要なのは、1992年に発売されたワコールの“よせて、あげる”の「グッドアップブラ」と共に、日本におけるブラジャーの流れを大きく変え、胸の谷間を強調するという新しい価値観と、長期的なブラのトレンドおよびブラのスタンダードをつくっていったということだ。
その後、ノンワイヤーあるいはサードウエーブブラの流れなど、快適で楽なものがもてはやされるようになっていっても、このプッシュアップ型(四分の三カップ)のブラが消えることはなかったし、ここにきて改めて見直されている面もある。
四半世紀を過ぎても同じブランド名でロングセラーを続けているというのは、かなり稀有なケースといえるのではないだろうか。
さらに、25周年を記念するスペシャルムービー、そして2019春夏物の最新商品のビジュアルには、日本人モデルが起用され、日本の女性たちの感情に訴えるものになっていた。時代の流れと共に当然のことながらグローバル化が加速する同社の取り組みとして、非常に新鮮な印象を受けた。