繊維ニュース 編集部ブログ

2019 02 Dec

前掛けで世界を紡ぐ縁

 

 【中部・北陸支社】日本伝統の前掛けを世界にも訴求し、成果を上げている企業がある。糸から製織、染めまで国内生産にこだわり、特に織りは自社工場でシャトル式織機を使用。中でも豊田佐吉氏が開発した「N」式を今でも稼働させている。

企業名はエニシング(愛知県豊橋市)。人と人が出会う“縁”を大切にしていこうという理念が社名の由来。創業は2000年。社長も若く40代。同氏がアメリカ滞在中に日本の伝統商品を残したい。さらにその商品を世界にも訴求したいとの思いから起業した。生産は廃業を予定していた製織企業から譲り受け、工場を新たに新築した。

創業当時は販路もなく、見向きもされなかったものの、その後国内の大手ビールメーカが採用。さらにパーソナルギフトとしても浸透し、工場が軌道に乗る。07年には念願であったニューヨークへ飛び込み営業活動を始め、今では欧米を中心に売上高の20%が海外という。日本の古くからの伝統商品を伝えたいという情熱が“縁”を結び、前掛けで世界を紡いでいる。(聡)