繊維ニュース 編集部ブログ
2019
09
Dec
棟上げ
家屋は基礎工事から始まり、棟上げ、外装工事を経て建物が完成する。日本では建築中に2度、神様をお祭りする伝統があった。それが地鎮祭と上棟祭だ。地鎮祭は土地を鎮めて、土地の神様に「ここに家を建てさせてください」とお願いするもの。ほとんどの場合新築時に現在も斎行されている。
もう一方の上棟祭は、平安時代初期から始まり中世に盛んになった。居礎(いしずえ)、事始め、手斧始め(ちょうなはじめ)、立柱、上棟、軒づけ、棟つつみ等、建物が完成するまでの建築儀式が数多くあった。江戸時代になりこれらの建築儀式を代表する形で上棟式だけが行なわれるようになった。
上棟祭は棟上げ式ともいい、竣工後の安全を祈るもので「棟木」を取り付ける際に行われる。棟木は家屋のもっとも高い場所に位置する横木で家の象徴的存在である。棟木が上がった後屋根を付ける作業や外装工事などが行われる。しかし、地鎮祭に比べると上棟祭は現在では必ずしも行わなくなっている。戸建て住宅でも上棟祭を省略することが多い。現在では建築メーカー主導で設計図通りに間取りができているか、各部屋の電気配線の位置等の施主との確認作業が主となり、上棟確認と呼ばれるようになっている。
地方によっては、現在でも餅まきをしたり、上棟祭後に宴会を催し、工事関係者とのチームワークづくりをし、施主のために家づくりをしていこうとする意思表示の表れが感じられるところもある。(博)