繊維ニュース 編集部ブログ

2020 26 May

夏祭りの中止

 

【大阪本社】昨日緊急事態宣言が全国で解除された。しかしこの間、東京五輪をはじめとするあらゆるイベントが中止、延期となった。神社の夏祭りも例外ではなく、ほとんどの夏祭りが4月に中止が発表されている。

私が住む地域の氏神である恩智神社(八尾市、写真は氏神の恩智神社本殿)の夏祭りも中止になった。一条天皇正暦5年(994年)4月中臣氏を宣命使として幣帛(へいはく)を奉り、疫病などの災難除けを祈願した。これが夏祭りの起源とされている。前年の正暦4年(993年)8月に疱瘡(ほうそう=天然痘)が流行して、租庸調の税金が免除されている。正暦5年(994年)4月にはさらに疱瘡が京の都中に流行して、路頭に病人・死者が多く出てその対応に難渋する。まさにその時、祈祷依頼の使者が朝廷から使わされたのである。

日本三大祭りの一つで疫病退散の祭りとして知られる京都八坂神社の「祇園祭」も山鉾巡行と神輿渡御の中止が決まった。

疫病退散のために始まった祭りを中止せざるを得ないのは皮肉なものである。加持祈祷を重んじ、それにしか頼るすべがなかった平安時代の人々。感染を防ぐには、3密を避け、薬とワクチンの開発を待ちのぞむわれわれ現代人。未来の人達の目には2020年という年がどう映っているのだろうか。 (博)