繊維ニュース 編集部ブログ
2020
25
May
変われない
【東京本社】新型コロナウイルスの感染拡大も収束に向かっているのか、東京では新規感染者数が減少傾向を示している。
一方、ファッション業界に目を向けると、コロナ後に「ビジネスが激変する」と予測する業界関係者が多い。今回のパンデミック(世界的大流行)は環境保全の意識を高めるには十分過ぎる出来事だった。
消費者は必要最低限の服しか買わなくなり、購入する際の選別はより厳しくなる。一過性のトレンドよりも、長期間に渡って着用できるデザインや機能を重視する傾向が強くなるのだろう。ソーシャルディスタンスの定着により、EC(電子商取引)を含めた販売機会のデジタル化も重要になってくる。
翻って、日本の大手・中堅ファッション企業がこの激変に対応できるのか憂慮している。変われるチャンスは2008年のリーマン・ショック、11年の東日本大震災と2回もあった。にもかかわらず、そのターニングポイントをスルーしてしまった。
多くのファッション企業はブランドの統廃合とリストラで事業規模を縮小しながら、課題解決を先延ばしにしてきた。大量生産して売り減らすビジネスモデルはもはや過去の遺産で、商品の過剰供給やセールに偏った在庫処理といった問題を直視しなければいけない。極度に原価率を下げた商品供給も限界に近づいている。(市)