繊維ニュース 編集部ブログ

2020 27 May

【東京本社】愛知県豊田市の伊勢産業は、自動車関連工場の環境改善につながる施工を手掛ける。炉に断熱性を持つパネルを取り付けて、工場内の気温上昇を抑えるというような作業を行っている。

 社長の山本憲男さんは本業で培った開発力を生かし、さまざまなアイデア製品を生み出してきた。中でも、東日本大震災の津波被害を見て思い付いたという避難用のシェルター「伊勢の方舟(はこぶね)」は、発想のユニークさと人命救助という社会貢献への意識の高さにより注目を集めた。国内のニュースで取り上げられたばかりでなく、世界的に有名な米国の経済紙のウェブ版でも紹介された。「下町ロケット」を地で行く逸話の持ち主だ。

 そんな山本さんが、今の新型コロナウイルス感染に対して、行動を起こさないはずがなく、早くも一つの開発品を完成させた。その名も「自己隔離エンクロージャー」。災害時の避難場所でも、感染者を隔離しながら看護できるという設備だ。ビニールシートで覆って作った空間だが、除菌や換気ができる機能を持たせ、感染を防ぐ効果を高めた。

 非常事態に置かれてこそ新しいアイデアを創出するモノ作りの精神は、実にたくましい。(強)