繊維ニュース 編集部ブログ

2018 06 Nov

刀の魅力

 旧暦9月29日、七十二候では霜降の末侯、楓蔦黄なり(もみじつたきなり)。紅葉や蔦が色づく頃。

 京都国立博物館で開催中の「京のかたな」展へ行ってきた。空前の刀剣ブームの中、ゲーム『刀剣乱舞』の効果も手伝い、待ち時間1時間余りの長蛇の列。国宝19件を含む170件の逸品がそろう。平成最後に開かれた大規模展示会になった。一振りの刀を見ているだけで、鋭さ、強さ、神々しさ、厳しさ、輝き、美しさ、妖しさ……。刀の魅力を形容する言葉が幾つも浮かんでくる。

 鍛錬、焼入れ、研磨の工程を経て最高の「鉄の芸術品」に仕立て上げられる。かつての武将は所持することで自分のプライドを保ち、精神的な支えを得ていた。「名物三日月宗近」「圧切(へしきり)長谷部」を見て、現代人は刀鍛冶、所持した人に思いをはせつつ美しさに嘆息する。(博)