繊維ニュース 編集部ブログ
2019
20
Sep
香港の喧騒(けんそう)
【東京本社】9月上旬に香港へ行った。香港島の中心部で開催している合同展示会「センターステージ」を取材しながら、店舗の売り上げや香港市民の生活実態などを聞いた。香港政府は明らかにしていないが、おおむね売り上げは4割減、客数も4割以上減っている店舗が大半だった。往路の飛行機には空席が目立ち、航空会社のCAさんによると「香港便はいつもいっぱいになるのですが……」と話していた。出張中の4日夜には政府トップの林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官が大規模デモの要因となった「逃亡犯条例」改正案の撤回を正式に表明。デモ収束のターニングポイントになるかと思われたが、デモはまだ続いている。しかし、市民は普段通りに生活している。飲茶(ヤムチャ)を楽しみ、不便なく買い物もできる。テレビやウェブサイトでは、武装警察とデモ隊による暴力の応酬がクローズアップされているが、大規模な衝突が毎日起きているわけではない。
一方、不便になっているのは交通手段である。デモ隊を避けるため、空港への移動や繁華街での取材も注意が必要だ。取材中も香港地下鉄(MTR)の主要駅が破壊され、夜遅くには出入りができなくなった。警察に“友好的”と判断されたMTRには、現在もデモ隊が各駅に集合を呼び掛けている。駅の中には数十人の武装警察が待機し、威圧的な態度で利用客を監視していた。黒いTシャツを着てホームにいた私の背後に、いつの間にか3人の武装警察がいた。一般利用客とデモ隊(主に学生)の区別がつかないため、怪しい人物にはマークに付くのだろうか。そのことを通訳さんに話すと、不用意な黒Tシャツ着用を指摘された。(市)