繊維ニュース 編集部ブログ
2020
20
Jan
売り場の高揚感
【東京本社】昨年は百貨店の苦境を象徴するような閉店、リストラのニュースが相次いだ。昨年12月、2019年10~12月期連結決算で特別損失約67億円を計上すると発表した三越伊勢丹ホールディングスも、不採算店舗の撤退やブランド事業の清算を急いでいる。
同社は、1990年代に人気を集めたビンテージスタイルとカルチャーをミックスさせた米国ブランド「アナスイ」からも撤退。同ブランドの直営店は3月までに順次クローズする予定だ。構造改革とも表現できる施策だが、少子高齢化で国内マーケットが縮小するなか、難しい経営判断が続く。
そんな中、1月2日の初売りに、伊勢丹新宿本店へ行ってきた。セール商品や福袋を求める消費者が行列を作り、本館とメンズ館を合わせて1万1千人以上が並んでいた。ここでも訪日外国人が存在感を示し、売り場やレジでは中国語や韓国語が飛び交っている。
日韓関係の冷え込みから韓国人観光客は著しく減少しているが、同百貨店にはデザイナーズブランドのアウターを買い求める韓国人が数多く訪れていた。想像以上の売れ行きだったのだろう、販売員の顔つきも生き生きとしている。新聞などで報じられる消費の閉塞感とは正反対の高揚感。一時的とはいえ、久々に高揚する売り場の一端を見た。(市)