繊維ニュース 編集部ブログ

2020 17 Jan

綿花がつなぐ開発秘話

 

【大阪本社】 ジンニングマシンというのを初めてみた。綿繰り機ともいう。綿花を収穫した後、繊維と種を分離する最初の工程で、綿花生産国でなければ見ることはないと思っていた。

 それを昨年末、肌着を製造販売するワシオ(兵庫県加古川市)社内で見ることができた。同社はかつて加古川周辺が一大綿花栽培地だった歴史的背景に注目し、数年前からオーガニック綿を栽培する「かこっとんプロジェクト」に取り組んでいる。

 大切に育てられた綿花の収穫は、トラクターではなく手摘み。このままだと異物が入り混じった状態なので、ジニング工程には一際気を配らなければならない。

 ところがこのジニングマシン、国産はどこも製造していなかったらしい。仕方ないので海外から取り寄せとなると最先端技術を導入した大規模な機種ばかり。コンパクトで手頃な価格の機械がないと壁にぶつかってしまう。

 そこで強力な助っ人が登場する。地元のよしみで輸送機製造のオークラ工業が開発に協力し、戦後初となる国産機が誕生した。それが画像の機械で、展示物でなく現役で稼働している。こうしたプロセスを知ると、モノ作りは資金や技術力もさることながら、人脈ネットワークが欠かせないとつくづく感服した。(和)