繊維ニュース 編集部ブログ
2019
09
Sep
やっぱりウールはすごかった
【大阪本社】北極冒険家の荻田泰永さんが若者12人と4月7日から5月5日まで約1カ月を費やして北極圏600㌔を走破する冒険に成功した。トーア紡コーポレーションと大阪大学大学院基礎工学研究科の清野健教授らの研究グループが開発したスマート衣料を着用し、冒険中の生体情報をリアルタイムで記録するというユニークな実験も実施した。
スマート衣料も先進的な取り組みだが、それ以上に興味深いのは、ウールが持つ天然の機能性が北極圏の極寒環境で実証された点だろう。「極地での冒険では、汗冷えが低体温症の原因となり、命に関わる」と荻田さんは指摘する。しかしウールは天然の吸放湿性によって汗冷えが起こらない。登山でも特にハードな条件で登頂する人はウールの肌着にこだわるのも当然だろう。
また、1カ月間洗濯なしで着用してもウールが持つ天然の消臭機能によって衣服が臭くならない。「冒険は複数の人間が狭いテントの中で生活を共にするので、衣服の臭いは意外と大きな問題」と言う荻田さんはウールの機能を高く評価する。やはり、ウールはすごかった。(宇)