繊維ニュース 編集部ブログ

2020 19 Nov

紅変黄変

 

【東京本社】波乱続きだった2020年だが、暦通りに紅葉が楽しめた。久しぶりのことだ。近年は残暑がしつこく居座り、気づけば師走、忙しいやら寒いやらで、秋がなかった。

今年は10月ごろから気温が下がり、街中でも木の葉が色付くのが分かった。週末、山梨方面に鈍行で向かう。短いトンネルを抜けるたび、左右に迫る山の赤や黄が濃く、広くなっていき、車内のあちこちで控えめな歓声が上がった。

 ぶらりと下車して、低山の登山道を目指す。自分の足音がカサコソ響き、観光地の静けさに気付いた。訪日外国人が激減したためだろう。関係の商売は大打撃だが、晩秋の山はやはり閑静であってほしい。

見えないウイルスに翻弄(ほんろう)されるのも人間、落葉樹の単なる紅変、黄変を面白がるのも人間。あくせくするのは仕方ないけど、落ち込むのは適当なところでやめよう。足の向くまま、秋の奥座敷を満喫した。(周)