繊維ニュース 編集部ブログ

2020 09 Sep

 

【東京本社】大型で強い台風10号が過ぎ去り、秋の気配もそろそろか、と思いきや相変わらず厳しい残暑が続く。それにしても今夏は新型コロナウイルス禍の影響で外に出ることも少なく、暑い夏を過ごした充実感や思い出がいまひとつ希薄である。去年買ったお気に入りのアロハシャツもほとんど着ることなく、夏の解放的なシチュエーションも皆無だった。

よわい50の半ばも過ぎると、昨日や、おとといに何を食べたかも、うまく思い出せないことがある。なんともまあ情けない話ではあるが、どういうわけか遠い昔、子供の頃の夏に友達と炎天の下で走り回ったことや、ビーチサンダルを脱ぎ捨て、川に入ってザリガニなんかを捕まえたこと、夕立が去った後、強い日差しに打たれた地面から発する独特の匂いなどを昨日のことのように思い出せたりする。

脳の記憶メカニズムはよく分からないが、幼少期の濁りのないピカピカで純粋な感受性と、何事にも懐疑的で、霞がかかる老いた感受性では、記憶の定着にも大きな違いがあるような気がする。

子供の頃の遠い記憶は実に心地よく懐かしい。今の子供達が情緒を豊かにするひと夏の経験をなくしてしまわないよう、来年の夏には新型コロナ禍が収まっていればいいんだが・・・。(東)