繊維ニュース 編集部ブログ

2019 12 Jun

引き立て役にも衣装

【東京本社】親族の結婚式が近い。ダークスーツばかりでも芸がないな、とフォーマル専門のレンタルサービスを利用することにした。昼の式なので、ディレクターズ・スーツを選んでみる。燕尾服の上着だけ普通のジャケットに変えたスタイルで、ついでに調べたら米国ではストロウラー、英国ではブラック・ラウンジと呼ぶそう。

 店に行き、ひとそろい着こんで鏡の前に立つと、昭和の漫画に出てくる「田舎の校長先生」がそこにいた。ベーシックなデザインだが、スリムシルエット全盛の今、いささか野暮くさい。股上の深い縞パンツがまた、昔の校長先生度を強調している。素材も厚手で、屋内とはいえ夏場は辛い。軽く滅入ってきたが、まあいいや引き立て役だし、と清算した。

 新郎用のタキシードは色もシルエットもいろいろあるのに、参列者用の衣装は汎用性一点張り。汎用性が高いということは、カッコよくも快適でもないということだ。新郎新婦より目立たずとも、キマる服を着たいニーズはあるのではないか。

 親しい人たちはとうに身を固めたか、そうでなければ独身の決意を固めた。結婚衣装も今回が着収めかもしれない。帰宅して妻にそんな話をしたら、「これからまた増えるかも」と。そう、親戚の子供たちが次々に成人するのだ。ブツブツ文句を言うくらいなら、やはり一着買っておいてもいいか。(周)