繊維ニュース 編集部ブログ

2019 22 Jul

どこか遠くへ

 【東京本社】日本航空(JAL)が導入した仏・エアバス社の最新鋭機「A350―900型機」の初号機を運行開始(9月1日)前に見る機会があった。真新しい機内を目にし、“行き先はどこでもいいので、乗せてほしい”という歌が頭に浮かんだ。その瞬間、「どこか遠くへ」と切に願った。

 念願かなってというわけではないが、欧州最大規模の服地見本市「ミラノ・ウニカ」の取材で、イタリア・ミラノを訪ねることになった。飛行機の中は日本人が多く、経由地のフィンランド・ヘルシンキ空港でもノートパソコンを抱え、メールをチェックする日本人の姿が目立った。

 遠くまで来たはずなのに、遠くではない。前に書いたかもしれないが、願った「遠く」は物理的な距離ではなかったようだ。「ジョージア(国)に行ってみたい。日本人がほとんどいないらしい」。過去の同僚との何気ない会話が今更ながら心のどこかに突き刺さった。

 乗り継ぎ便のドリンクサービス。「コーク、プリーズ」「コーヒー? ブラック? ミルク?」「ノー、コーク、プリーズ」。コーラ飲料は有料だと分かり、うなだれて水を頼む。哀れに思ったのか、キャビンクルーは、他にもジュースがあるとほほ笑んでくれた。優しさに感激し、グレープジュースをお願いした。オレンジジュースが出てきた。遠くにいると実感した。(桃)