船橋 芳信

2020 31 Jan

My Favorite Thing 2

My Favorite Thing 2

好きな物、自分の好きな物を挙げるとなると色んな引出しから、探しはじめる。
ジャンルを挙げると一体幾つの引き出しがあるのやら、途方に暮れてしまう。
音楽一つとっても、時代性がある。、
ルネッサンス、バロック時代、古典派、ロマン派、近代、現代、など時代によっても音楽の表現は其々特徴がある。
器楽、弦楽、打楽器、チェンバロ、ピアノ、楽器、国に依っても、音楽は国境を持っている。
音楽の愛好にも知識と感性と知性が必要である。
絵画でも同じ様に時代が時間と場所とで表現に差異が生じている。
 
  好きな物を考える時、食で語ってみると具体的で、少し話やすくなる。
よくある体験だが、初めてのレストランでの、始めてのメニューを食し、
その味覚の新鮮さに感動を覚え、つい又通ってしまう。
すると、あれ、こんな感じだったかな⁇と少し違和感を覚えてしまう。
最初のあの感動と再開したい為に、幾度か通うが、最初の感動は遥か霞の彼方に、
出会いとはそうしたもので、一度きりなのであろうか?
一度味わった味は、味覚感覚は、既食感が残っているので、初めての時のようには、感動は出来ない。
感動した時の状況が、時間、空間、状況、又料理する人のその日の気分、体調、全く同一である事は無いだろうか?
対象となる料理と、向き合う自分、勝手な思い込みも、味覚への相乗効果は影響する。
勝手に良いところを思い描くこともある。勝手なる思い込みは良くある。
 ところが、である。
 幾度となく通っている贔屓のレストランの好きなメニューが、いつでも感動すのは何故だ?
確実に、作り込み、時間と労働への創作意欲、何よりも料理への創作動機のレベル向上に、
常に前向きで、惰性の時間がない料理人なのであろう。
 一口、口に入れた時、調理された料理の味の繊細さ、芳醇さ、まるで其の手順さえもが、
味覚が時間を語って呉れてる様なのだ。
其処には、計算し尽くされた熟練とそれを覆い隠すシンプルな味、見事としか良いようが無い。
 食後、又戻りたくなるそんなレストランのメニュー、
又もう一度訊きたくなる演奏、
心に留まる絵画の心象風景、
そして、又着たくなり、求めたくなる一着の服、
そんな服作りに今日も、励もう!