船橋 芳信
知らざるテナー達、カルーソから現在迄
知らざるテノール達、膨大な時間の重なりの果てに、其の重みに潰されて行った過去の歌手たちの存在、
彼らとの会話を始める切っ掛けになったのは、手巻き蓄音機のお陰である。耳を通して感覚を揺さぶり、気持に高揚感を与えてくれたり、
喜怒哀楽の織りなす感情を豊かにさせてくれる音楽の効用は、計り知れない。ここに歴史上の有名なテノール歌手を列記してみたい。
テナー(テノール)と言えば、Enrico Caruso、テナーの帝王と称されたカルーソは、1902年ミラノでビクターのレコード録音技師、
ガイスベルクと最初のレコーディングをし、カルーソの名前を世の中に広める切っ掛けになった。カルーソはアメリカを席巻し、
彼の声、音楽が劇場を抜け出し、家庭の中で愉しめる切っ掛けとなったのがレコードの出現である。
こうして産業革命の落とし子とでも云える手巻き蓄音機が、音楽を大衆化へと導いて行く橋渡しになって行った。
フレッド・ガイスベルク(1873-1951)は、優秀な音楽家でもあった。故に彼は、優秀な音楽家を探し求め、レコーディングする事に其の労力を集中させた。
レコーディングは一世を風靡し、やがて機械式吹き込みから電気録音へと移行して行き、ガイスバーグは33回転LPレコード、
Long Playingレコードへの意向を提唱するが、LPレコード、33回転が、彼の死後展開されて行く。
こうして劇場のみでの音楽の楽しみは、一般大衆へ向けて大宣伝する時代へと突入して行く。
其のシーンには、カルーソの第2、第3が必要とされ多くの歌手達が出現して行く。カルーソの後に続くテナーを列記する。
エンリコ・カルーソ(Enrico Caruso 1873-1921)
アウレリアーノ・ペルティレ(Aureliano Pertile 1885-1952)
ジョバンニ・マルティネッリ(Giovanni Martinelli 1885-1969)
ベニアミーノ・ジッリ(Beniamino Gilli 1890-1957)
ティート・スキーパ(Tito Schipa 1888-1965)
ラウリ・ジャコモ・ヴォルピ(Giacomo Lauri Volpi 1892-1979)
フェルッチョ・タリアビーニ(Ferruccio Tagliavini 1913-1995)
マリオ・デル・モナコ (Mario del Monaco1915-1982)
ジュゼッペ・ディ・ステファノ(Giuseppe Di Stefano 1921-2008)
ルチアーノ・パヴァロッティ (Luciano Pavarotti 1935-2007)
アルフレッド・クラウス(Alfredo Kraus 1927-1999)
ジュセッペ・ジャッコミーニ(Giuseppe Giaccomini 1940-)
プラチード・ドミンゴ(Placido Domingo 1941-)
二コラ・マルテヌッチィ(Nicola Martenucci 1941-)
ホセ・カレーラス(José Carreras1946-)