船橋 芳信

2019 19 Jul

AMFが壊れた!

  

ヴァカンスを前にして、毎年何かが壊れる。昨年は蒸気アイロン、今年はAMFのミシンが壊れた。                                                  お先真っ暗だったところ、修理のバルザギさんが、昨日来てくれました。                                                             中を外して、部品を分解し修理してくれました。長年使っているので、愛着もあるし、我々の服の製作には、欠かせません。                                      約1世紀前に、アメリカの学生グループが手縫いのような縫い目の出来るミシンを作ろうと研究、模索、錯誤しつつ作り上げたミシンです。                               通常のミシンとは、メカニズム自体全く違うのです。針の穴は、針の中間に有ります。一本長さ60センチのシルクの長さの糸を通して、上下にある、                           針を掴むシャトルが上下方向に針を動かして、同時に押さえガネが生地を送ります。真ん中に糸を通された、針が上下に運動し、生地は前方に送られて、                         一本の糸が、ハンドステッチの糸目で縫って行きます。下糸はありません。                                                             このAMFのマシンは、単純な人間のハンドステッチの作業を、忠実に正確にしかも早く実行してくれます。                                             人間の望む作業を人間の表現欲望に沿って人間の能力以上に、縫ってくれます。AMFはだから道具に近い機械です。                                          これに、お金を稼ぐ思考を塗り込み表現力より金儲けに走る志向は、AIとくっついて経済効果に重視して行きます。                                          価値の変換が起こって便利さの追求にみんなが一丸となって走って突進して行きます。                                                       服は何のために、誰のために、服を作る動機、服を着ることの意味までもが、曖昧模糊とした社会構造を作り上げいるのでしょうか?                                   AMFの修理を見ていて、バラバラに分解された、細かい部品、よくもこんなに考え尽くしこんな、重厚なマシンを作り上げたものかと感心感動するのです。                        大きな機械音と地響きのようなつち打つ響きの連動の中で、甘い優しさに満ちたハンドステッチが、洗練された服の雰囲気を醸し出して行きます。                            AMFマシンへの強い信頼感は益々呼び起こされて行きます。