芹澤 絵美

2022 04 Jun

道法スタイル


<TUI in my Garden:Photo by Jo Sugimura>

室内ペンキ塗りも完成した!と思ったら、
ボスから連絡があり、来週からヴィンヤードのお仕事に呼ばれました。
冬の剪定、Newシーズンのキックオフです。

ブドウの剪定より一足先に我が家の庭の果樹剪定を行いました。

昨年の剪定まではいわゆる果樹剪定のセオリー通りに行っていたのですが、
最近YouTubeでよく見かけるようになった「道法スタイル」で今年は剪定しました。

果樹剪定に共通していることは、
・勢いよく伸びる徒長枝をしっかり落とす
・内向きの枝は切り、日当たりをよくする
・幼木の時にメインの枝を2〜3本が横に伸びるように誘引して樹形を作る
・短い枝によく花芽がつくので大切にする
などですが、道法スタイルでは上記全てのほぼ真逆を行きます。

道法スタイルは植物ホルモンの流れに沿った剪定方法で、
・徒長枝などの上に真っ直ぐ伸びる元気な枝をなるべく残す
・下向きの枝、横向きの枝を落とし、上向き、内向きの枝を残す
・枝の先端は一本にする
・新梢の脇枝は間引く
・花芽が多くつく短い枝、細い枝は落とし、摘蕾作業をしない
・切り口は、多少楕円形になっても枝の流れに沿った形に切りデベソを残さない
などで、木を強く健康にすることを第一目的とし、植物ホルモンの流れを阻害するようなストレスを強く与える剪定をしないのが基本のようです。それによって病害に強くなり、農薬や過度な肥料を減らすまたは全く使用しなくても美味しい果実が得られるようになるそうです。


ワイン用のブドウの剪定でも植物ホルモンの流れの話は出てくるので、
枝の根元と先端に元気な枝が出ることなど、ある程度は分かっているのですが、それ故に最初は頭を切り替えるのにちょっと苦労しました。

私たちヴァイン・グローワーは、
求められている収量をきっちり産み出さないといけないので、それを追求して追求して試行錯誤した結果が現在のスタイルだと思うので、農薬、肥料、誘引、作業効率、収穫のしやすさを前提とした剪定方法をとっており、従来通りで良いと思っています。


ですが、家の果樹であれば、やり方を変えたことで数年実が付かない、
となってもまったく問題は無いのでこの道法スタイルを取り入れたいと思います。
というのも私は化成肥料は使いますが農薬はもともと使わないので、リンゴの木など病気に弱い品種が丈夫に育つのであれば、植物ホルモンに沿った道法スタイルには前向きです。
化成肥料も、おそらく使いすぎが原因で柑橘系の果物が苦く味が悪くなった年があったので、あまり使わない方が良さそうだなとは思っていました。肥料を使い出す前の、放置プレイで勝手に機上完熟した初期の頃のミカンが一番甘かったです。


ということで、一通り剪定してみました。

我が家のアーモンドの木。毎年新梢が3メートルくらい伸びます。
<従来の剪定>

<道法スタイル剪定>

このアーモンドの木は、
伸びすぎると屋根の上のソーラーパネルに日陰を作るので、
出来るだけ低く抑えた従来の剪定のほうが適しているのですが、
枝先についた実の重さで将来的には垂れ下がってくるという理論らしく、
とりあえずはこれで様子見してみます。

剪定作業としては道法スタイルのほうが楽です。
元気な枝は上に向かって伸びる。
それは確かなことなので、慣れるとシンプルで理にかなっている剪定法だと思います。

道法スタイルは科学です。
名前は全部忘れましたがいくつかの主要な植物ホルモンの役割と特徴を元に考えられています。
ネットで検索すれば講座や講義、本などが出てきますので、科学で理解したい方は調べてみるといいと思います。


ニュージーランドはだいぶ寒くなってきました。
今年の秋冬は例年になく野菜を多めに作ったのですが、
球根を狙うネズミと葉物野菜をつつきまくる野鳥に苦戦しています。。。
被害の出始めは敵の正体が分からないのですが、
囓ってあったり掘り返してあればネズミ、
葉っぱのみを食しているのであれば害虫か害虫を狙った鳥の仕業だと分かりました。
敵によって対策が変わります。
ネットをかけたり、金網をはったり、試行錯誤しながらやっています。
食べ物があると気づいた獣たちの行動の速さたるや、、、とほほ。
秋冬野菜、今後は毎年作っていきたいので、来年は後手に回らないようにしたいです。